2015年2月27日金曜日

氷川神社で朝の観梅





   「梅」の季語をもつ俳句を数句選び書くエッセイを提出した朝、思いたって、武蔵一宮氷川神社に参拝、観梅と洒落込んだ。梅林には紅千鳥のみが咲いて、紅白梅はまだらしい。それでも、ピンクの花桟敷は冬にはありがたい。春のまだすこし遠い足音を聞いた気分だった。
    帰りに名物氷川団子が食べたかったのだけれど、すでに満席。カナヤ食堂で早めのランチにした。ここのパスタは自家製麺。春キャベツとアンチョビのペペロンチーノがあったので、それにする。最近、パスタとビールの組み合わせがマイブームなので、プレモルもオーダーした。
   いつも晩に呑みすぎるためか、朝食はカフェオレが主食でパンをひとかじりぐらい。昼はここ数年、ほとんど麺。典型的な呑助の食生活ですね。昼酒は普段はしません。ま、これから都内で仕事ですが。

2015年2月26日木曜日

カルチェ・ラタンの駅で



 
 
 カルチェ・ラタン界隈はソルボンヌ大学があることでも知られるが、最寄りのメトロの駅、Luxembourgにちょっと面白いものがある。上の写真のパネルがそうなのだけれど、このカルチェ(界隈)に住んだ詩人たちの署名が飾られているのだ。
 三番目の写真は、ランボーとポール・ヴァレリーのサインと生没年。駅の構内の片隅にある、このパネル。よほど関心のある人でないと気づかないだろう。これらの詩人は、カルチェの誇り。こういうものを見つけると、ああフランスに、パリに来たな、と思う。
 たまたまリュクサンブール駅で降りて、興味のある方はぜひ探してみてください。近くにはとてもおいしいアイスクリーム屋もあります。
 
 
 
 
 
 
 



2015年2月23日月曜日

パリのおすすめJAZZ


   仕事の視察でルクサンブール公園そばのCafe Universelにゆく。ちいさいけれど、最先端のミュージシャンが出演するクラブで、いまや欧州ファンの間では知るひとぞ知るスポットだ。
   その晩はたまたま入ったのだけど、いきなりドラムンベースの重低音がガンガンかかり、店内はすでに白熱していた。ジャズクラブにしては珍しく、立って踊っている観客もいる。ステージの左袖、ターンテーブルの隣でラップみたいにループを描く不思議なピアノソロを弾きまくっていたのが、Encho Leeだった。バンドはピアノ、フレットレスベース、DJという型破りなトリオ編成。
   日本にはまだ来てないんじゃないかしらん。すごくご機嫌なプレイだったから、無愛想なウェイトレス嬢をせっついて、CDを買ってみた。クレジットにはデイヴ・ホーランドのバンドで大活躍した、ネイト・スミスがドラムを叩いている。おお!さすがにネイト氏は出演してなかったけど。
   パリのアンテナの感度、好奇心には恐れ入る。これから何回か、パリのトリヴィアを紹介します。

2015年2月18日水曜日

パリ滞在へ

HIP HOP SUR LE VIF  – XAVIER BOLOT

MAR 17 FÉVRIER 2015 › MER 18 MARS 2015 | EXPOSITION
AGENCE D'EXPLORATION URBAINE #actions politiques de la ville | diffusion

HIP-HOP SUR LE VIF


パリ滞在により、23日までブログをお休みします。

上は「見えない波」公式ホームページにもコメントを寄せてもらった画家グザビエ・ボロさんの新作個展のポスター・ビジュアルをお借りしています。
フーコーを引き継ぎつつ人間の視覚像、「見え」を文化と科学の両面から考察する画家が、どんな「ヒップホップ」を描くのか。ぼくは彼のアトリエで現物を観たけれど、とても80歳近いとは思えないビビッドな線と色彩による鮮烈な絵画だった。パリでの先行イベントには、ヒップホップアーティストたちとともに、ぼくも出演?  Au revoir!

2015年2月17日火曜日

ダンスと舞踏とオイリュトミーによるパフォーマンス「毒と劔」へ




   2/15、東京は神楽坂セッションハウスにて開催された、オイリュトミスト・
ダンサー鯨井謙太郎さん構成・演出・振付、詩人の城戸朱里さんテクスト・朗読による「毒と劔」を観にゆく。
    14、15日の三回の公演は満員。大盛況のうちに幕が閉じた。公演の内容に関しては、他誌にレビューを書く可能性があるので、ここでは詳細を語らない。鯨井さんのダイナミックな荒ぶる舞い、二十代を中心にしたダンサーたちによるステージは舞踏の未来を十二分に予見させてくれるものだった。詩と舞踏の相互触発を更新しつつ、新たな可能性を感じさせる魅力あるコラボだったことは記しておきたい。ぼくは午後と夕方のステージ、二回見ました。会場には、舞踏家の笠井叡夫妻、笠井瑞丈さんの姿もあった。
    明日からパリなので、迷ったのだけれど、静岡から駆けつけたアメリカ現代詩研究の山内功一郎さん、この公演のためだけに博多から飛行機で飛来した若手詩人松本秀文さん、拙詩の英訳で大変お世話になっている遠藤朋之さんという顔ぶれを眺めるうち、足はふらふらと打ち上げ会場の焼肉屋へ。
    先日、素晴らしい個展をされたばかりの写真家小野田桂子さん。斎藤さんご夫妻。北川景子主演映画『チェリーパイ』の監督、井上春夫さんらも来られて、盛り上がった。残念なことに、鯨井さん、大倉摩矢子さん、四戸由香さんらダンサー陣が来るころには、ぼくは帰宅時間。後ろ髪をひかれつつ電車に飛び乗った。

2015年2月14日土曜日

バレンタインと白梅


 


    今日はバレンタインデー。庭にきたウグイスを見ていたら、白梅も咲きはじめたことに気づいた。
    バレンタインに妻が豆腐でつくったチョコブラウニーを焼いてくれた。健康を気遣ってくれたらしい。そういば、ここ2週間ほど休みがなく、持病の耳鳴りが悪化していた。
    来週からはパリ出張。明日は城戸朱里さんと鯨井さんの詩とダンスのコラボを神楽坂へ取材にゆく。
    今日はゆっくりめに原稿を書いて、夕方からロゼでも開けよう。ブラウニーと白梅をおともに。

    あれから数時間後。いまはスコッチを呑みつつ、ブラウニーをつまんでいる。ほんとに、チョコ味の豆腐、というかんじです。

2015年2月11日水曜日

今月のヴィンテージスコッチ


   毎月一本、ヴィンテージスコッチを買うことにしている。夕方の五時。仕事がひと段落すると、ショットグラス一杯だけ、生のままスコッチを呑む。
   今月買ったのは、アイラ島の銘酒ラフロイグの「トリプルウッド」18年もののシングルモルトです。トリプルウッドは、オーク樽、クォーターカスク、シェリー樽と三段階で熟成したもの。オフィシャルは10年だが、18年ものは珍しい。ぼくの好みのスコッチは、アルコール度数でいうと46度ぐらいまで。トリプルウッドは48度強あるので、ややドライだ。それでも、18年ものの舌触りはとてもメロウ。芳醇な潮味とピートがより際立ち、艶っぽい色をたたえている。
    最近は、本物のシングルモルト、シングルバレルのスコッチは世界的に市場が拡大して生産が追いつかず、なんちゃらストームだとか、若いスコッチをオーク樽で味つけしたり、付け焼き刃的な別物モルトが出回っている。もちろん、その成功もあるけれど。マッカランも年数を記載していないものが多くなりましたよね。
    グローバル化とかいわれても、スコッチぐらい本物にこだわりたい。一本のボトルからは、ワンショット1オンス:60mlとして10〜12ショット呑める。本物のヴィンテージスコッチは1.5万円以上はするし、ぼくなどにはそうそう買えるものではない。でも、一日のご褒美、仕事の時間から自分の時間をはじめる大切な最初の一杯なのだ。その時刻は日没時と決まっている。ウィスキーの香りと色彩が映える時間帯だ。
    写真のショットグラスはバカラ。ヴィンテージが終わると、クライヌリッシュのボトルをあけている。

2015年2月10日火曜日

焼き鳥「田むら」にて




   仕事の帰り、新宿三丁目の名物焼き鳥屋「田むら」本店に行く。田むらといえば、かつてライターの鴨志田穣氏が働いていた店。漫画家西原理恵子氏の前夫といえば、おわかりだろう。ぼくは週刊ゲンダイなどの鴨志田氏のコラムが好きで、会いに行ったこともあった。焼き鳥の味は中ぐらい。以前、八年ほど新宿に住んだことがあり、ときどき古巣が懐かしくなる。
   この日は、アメリカ現代詩の研究者で古い友人の鷲尾くんと呑む。彼とぼくはモダニズムの巨匠ウィリアム・カーロス・ウィリアムズを専攻していた。一緒に読書会もしたし、ウィリアムズの長詩「春のすべて」を共訳したこともあった。ゴダールの新作の話を聞き、それより隣に肩ふれあうごとく座った女子客を気にしつつ焼き鳥をつまんだ。

2015年2月6日金曜日

『Books』誌にインタビューが掲載


   スイスで発行されている国際的な書評誌『Books』にインタビューが掲載された。ブログでも書いたけれど、昨年10月にベンジャミン・スピルマン氏の招待で、チューリッヒのアートギャラリーChristophe Guye Gallaryにおいてプライベートリーディングをさせていただいた。その折り、インタビューを受けたのだった。
    手もとに届くまで気づかなかったが、なんと小説家ポール・オースターの取材記事まである。他にドイツの俊英小説家ハンナ・ケント、ミステリでは新刊が出たばかりのトマス・H・クックの特集。朗読のレコーディング取材、なんてのもある。カメラ、デザインワークもファッション誌並みにいい。さすがはデザイン大国でもあるスイス。こんな上質でおしゃれな文芸誌が日本にもあったら、と思う。

2015年2月4日水曜日

梅が鮨になった日





    日本現代俳句協会から、梅の句を題材にエッセイの注文をいただいた。
   ところが、今年は紅梅白梅が遅く、庭の枯れ木のなかではまさに紅一点、紅千鳥しか咲いていない。所沢では蝋梅の林が満開ときいたけれど。色は桃の花に近い梅の花を見上げつつ、ポケットウィスキーをあおっていたら、ふと鮨が脳裏に浮かんだ。
    梅を見ていたら、わけもわからず鮨が食べたくなるなんて。
    エッセイを急いで書き上げ、浦和にでかける。「よし佳」は満席だったので、「二乃宮」へ。本ぶり刺身、アナゴ白焼き、ハマチ、コチ塩。そういば、今日は立春。冬の魚を味わったら、すぐに春が来てしまいそうな気がした。

2015年2月2日月曜日

小野田桂子写真展へ




   1/31は妻と小川町のオリンパスギャラリー東京へ。写真家小野田桂子さんの個展を観にゆく。
   2013年冬、詩人の城戸朱里さん、小野田さんとぼくは、テレコムスタッフによる舞踏家笠井叡さんの撮影で、岩手県の陸前高田に入っていた。日本現代詩歌文学館の学芸員豊泉さんの運転と案内で海岸道を走行中、コメントだけもらう予定だった笠井さんが、突然「私、ここで踊ります」と申し出た。津波による残骸が散らばる浜辺で、笠井さんは即興で踊る。気温はマイナス2度。突風が吹き荒れ、開閉のたびバンのドアが飛ばされそうな強い海風に向き合い、笠井さんは高速で舞った。
   その渾身の舞踏を一部始終、小野田さんは撮影されていたのだ。その写真が2年の時を経て、震災から4年がたとうとするいま、展示の機会を得たのだった。ぼくらは17時に会場に到着し、写真を観た。あの即興舞踏は、10分ほどのパフォーマンスだったように思う。笠井さんが舞いはじめ、最後に海の水で禊をするまでの瞬間をとらえた、荒い粒子の写真が時系列にそって展示されていた。小野田さんの作品に喚起されて、ほんとうに、触れそうなほど、あのときの記憶が近づく。出会うことが奇跡のような目撃を、小野田桂子さんは現場の息吹のままに正面からとらえていた。写真とはつねにすでに、そのような存在領域だというように。
   18時から、小野田さんと親交のある作家の柳美里さんがスピーチ。司会はわが先輩、和光大学の遠藤朋之さん。かの「ライカ同盟」の秋山祐徳太子氏が乾杯の音頭をとり、評論家の西部邁氏もスピーチをするという豪華なレセプションがはじまった。
   写真展の詳細はこちら。ぜひお越しください。