急ぎの原稿を脱稿したもので、
疲れをとりに温泉へ。
春日部温泉「湯楽の里」にいってみる。
天然温泉かけ流しの湯は、
茶濁した深海水層から引き上げたお湯で、
ちょっとしょっぱい。
夕焼けのオレンジ色の日だまりで
露天風呂につかりながら広い空を見上げます。
坊主頭を昨日よりちょっと冷たい秋風が吹き過ぎて。
それにしても春日部で天然温泉に入れるとは、
信じがたいと感慨に浸りつつ生ビール。
今年の春に16年住んだ東京を離れ、
さいたまに帰って感じたのは、
随分と都会的になったなあということ。
温泉のあと、当然、どこかで呑みたくなって、
大宮の「多雲房」(たんぼ)へ。
裏路地にひっそりと暖簾がかかる、
入口は江戸的隠れ家居酒屋。
地酒マニアには知られた老舗です。
純米吟醸雪鶴(もち、ぬる燗)ではじめて、
おつまみは、ここの名物「山うに豆腐」。
特殊な味噌豆腐で海胆に匹敵するクリーミーさ。
原材料に乳製品を使っていないのに。
つづいて、豊後の鯖刺し。
薄く刺してあるので、活きのいい身と脂が
じゅわっと口中にとろけて広がります。
秋の醍醐味、新さんま刺しは
これも大変新鮮なので身の断面が三色に。
酒と肴が旨いので、平日の早い時間に
ときどき立ち寄りますが、
店内は寺山修司映画作品書割風に独特のムード。
昭和の匂いただよう温泉旅館の居間のような座敷で
赤番傘をランプシェードに、マスターの描いた
屏風絵が飾られる(店内写真は非掲載、ご来店を)。
ちょっと大宮にいることを忘れます。
家では普段、蓮田の酒、神龜の純米辛口を呑んでいます。
神龜を初めて口にしたのはこの店だったような。
その後、西荻窪にあったバードランドで神龜と再会。
埼玉の知られざる名酒を都内で発見して驚きました。
それも10数年前の話。
カリスマ焼鳥屋さんの先見の明に敬礼。
あさってからフランスに行くので、
温泉と居酒屋コースともしばしお別れ。
(次回更新は12/5以降です)