2013年10月31日木曜日

シャン族の朝麺


チェンマイの
hosihana villageでは
ミャンマーの高山民族である
シャン族の方々が
働いている。

タイ側で「タイヤイ」と
呼ばれているシャン族は
ミャンマー政府から追われ
タイに亡命するように
して来ている。
そのほとんどが
ビザもなければ
住居も働き口も
ないという。
バーンロムサイさんでは
そんなシャン族に
ビザを与え
働いてもらっている。

星花村の
レストランでは
毎朝の朝食も
シャン族の方々が
つくってくれる。
なかでも伝統料理
「シャン・ヌードル」
は絶品。
スープはやや
あっさりめの担々麺
のようだが
手打ちの麺が
すごく旨い。
まさに日本では
食べたことのない味。
餅のように
トロッともちもち
していて、やや
粘り気のある
食感をしている。
レストランの
ディレクターによると
この麺は
シャンたちにしか
打てないそうで
タイでもなかなか
食られないそうだ。
麺を打つのに
3時間ほどかかり
独自のレシピは
材料の買い出しに
回るのに
半日かかるという。

本来は、
結婚式や
お祝い事のとき
打つ
特別な朝麺
なのだそうだ。

2013年10月29日火曜日

チェンマイ サンデーマーケット








チェンマイ市内
土曜日の夕方から
日曜深夜まで開かれる
歩行者天国式
マーケットには
タイ全国、海外から
毎回三千人ほどの
客が訪れる。
通称「サタデーマーケット」
「サンデーマーケット」。

古都チェンマイは
芸術の都でもあり
アートスクールも多い。
食物の屋台に
まじって
プロの画家
学生画家が
アート作品を
ずらりと並べて
展示即売会を
している。
路上に
飾られるアートに
エネルギッシュな
舞踊音楽と
売り声と読経と
政府スピーチが
渾然と降りそそぎ
音のドリップ
ペインティング
というか周囲は
まさにカオス。

すごい喧噪で
食べ、物色し
歩き回っていた
人々全員が
ピタリと足を止め
胸に手を置いて
静止した。
プミポン国王を
讃える時刻が
やってきたのだ。

ボロボロの
シャツを着た
焼鳥屋の
おじさんが大声で
タイ国家を歌う。
国歌斉唱が
終ると
おじさんは夕空に
拳を突き上げ
「Great Thailand!」と
誇らしげに叫んだ。

2013年10月27日日曜日

石田尚志さんの個展へ



映像作家・石田尚志さんの
個展「燃える椅子」が
清澄白河駅そば
「Taka Ishii Gallery」で
開催されている。
ぼくはオープニング・
レセプションへ伺った。
http://www.takaishiigallery.com/jp/archives/9272/

尚志さんは
五島記念文化財団美術新人賞
を授与され
カナダのトロントで
映像作品「燃える椅子」を
研修制作された。
当日は
その研修帰国記念の
発表会でもあった。

東京都現代美術館のある
木場に近いギャラリーは
タクシー会社隣の
倉庫5階にある。
一見、そこがアート・
ギャラリーだとは
わからないのが
とても面白い。
レセプションは18時から
だったから
まず腹ごしらえにと
一見の寿司屋にふらり。
大正時代から清澄で
やっているという
寿司屋の大将は
「ここら辺は
泥鰌屋や
割烹が多くてさ。
木場の旦那集のお陰で
町が潤ったもんよ」。
アートを育てる
パトロンが多いのも
木場の土地柄だろうか。

ギャラリー入口で
石田尚志さんに挨拶。
尚志さんは
ぼくのH氏賞授賞式にも
来てくださったが
今回は奥様にも
ご挨拶することができた。

上映スペースで
「燃える椅子」を観る。
つづいて
尚志さんのトークが
あった。

すべてコマ撮りで
撮影された
アニメーション作品は
トロントのスタジオの
壁面に
水とチョークだけで
制作された。
映像や映画は
世界と物質の
「影」像を映す
行為であり
影とはすなわち
作品の寓話や寓意
でもある。
水とチョークで
描かれる
尚志さんの作品は
その「影」を
消失に導く。
すなわちそれは
椅子を「燃やす」
ことなのだという。

そんな制作解説の
傍らで、
尚志さんは
カナダのピアニスト
グレン・グールドと
文明批評家の
マーシャル・
マクルーハンを
引き合いにだしつつ
アニメーションと
メディアの関係性
についても
語られた。
20年近く尚志さんを
知っているけれど
彼から「メディア」
というワードが
飛び出たのに
少々、驚く。

会場には
「燃える椅子」の他に
詩人の吉増剛造さんに
インスパイアされた
新作「十四枚の原稿」と
「二十枚の原稿」も展示。
伊東屋の原稿用紙に
スポイト・ドリップで
描かれた水彩は
言葉の手前で
佇む〝筆跡〟
純粋な形象という
言葉以前の言葉を
予感させ
幻視させてもくれる。

詩とアートが
コラボする展示は
近年、多いけれど
ぼくは個人的に
詩とアートの距離は
以前より開きつつある
気がする。
もっと
本質的な意味で
アートが詩を照らし
詩がアートを
照らすような
内奥からの対話が
必要ではないか。
尚志さんの作品は
そんなことも
考えさせてくれる。
深く、充実した
展示だった。

詩人の森川雅美さん
渡辺めぐみさん
詩人・歌人で批評家の
生野毅さんも
作品に見入っていた。

出口でぼくは
刊行されたばかりの
尚志さんの作品集に
サインしてもらう。
紙に触れて軋み
震えるような
署名は、以前と
まったく変わらない。

2013年10月24日木曜日

チェンマイ ハンドン市場



星花村から
車で十五分ほど。
タイの田舎の
ちいさな市場に
遊びにいった。

一歩足を踏み入れると
強く独特な
匂いの洗礼を受ける。
八百屋、肉屋、魚屋
惣菜、甘味、漢方薬


リーバイスならぬ
「LIVE CLIMAX JEANS」
(ネーミングが
いかしている)
野良犬
フライド・インセクト
( 揚げ虫、一袋10バーツ)
なんでも売っている。
かつての日本が
もっていた
暮らしの匂い。
匂いの強さは
生活力の強さだ。


まずは
市場のなかの
屋台でランチ。
ここの
カオ・マンガイ
 (鶏入りカレー風味そば)
は美味しくて
評判なんだそうな。



チェンマイは
日本でいう京都の
ような古都で
料理のバリエーションも
バンコクや南部に
比べると
種類も多く奥深い。
そしてあまり
辛くないのが
定説だけれど
カオ・マンガイは
めちゃくちゃ辛い。
(でも旨い)
写真にはないけれど
地元の辛党は
「ヤムガイ」
(タイ北部の
辛くて有名な
鶏薬膳スープ)
にも使われている
まっっ赤な激辛
唐辛子スパイスを
入れるのだそう。
食堂のおばちゃんは
タイ語と手振りで
「絶対にやめておきな」
と忠告してくれた。

2013年10月22日火曜日

チェンマイ 泥の家




タイ北部チェンマイ。

少し長いステイで
泊まったホテルは
「エイズ孤児を
支援する生活施設」
バーンロムサイの
運営する
「hoshihana village」。

スタッフは
日本人とともに
近隣の村々や
タイで職につくのが
きわめて難しい
高山民族の方々。
宿泊費や
レストランでの食費は
エイズ孤児を保護する
施設の運営費に
あてられる。

星花村は
感じのいい
センスあふれる
リゾートで
とても気に入って
しまった。

ぼくが泊まったのは
「クレイハウス」と
呼ばれる
泥と木材で
建てられた家。
日本人の
建築科の学生が
地元の大工さんや
チェンマイ大学と
共同して
ボランティアで
設計・施工
したらしい。

生活はいたって
シンプル。
夜明けの青い光と
野鳥やニワトリ
たちの声で
否応なく目覚め
ライトな仕事の他は
テレビもないので
本を読むか
プールで泳ぐか
シンハービールを
呑むぐらいしか
することがない。

ぼくはこの家で
詩を書いた。

「詩客」10/18号に
発表したのが
その詩です。
http://shiika.sakura.ne.jp/works/jiyu/2013-10-18-15129.html

2013年10月18日金曜日

託された詩集


クロコダイル朗読会の
休憩時間中
詩人の池井昌樹さんから
「預かってほしい」と
一冊の詩集を託された。

池井さんの第二詩集
『鮫肌鐵道』
一九七八年刊行
鈴木翁二 挿画
「限定300部ノ内
第208番」
発行は露青窓と
なっている。

貴重な詩集。

ひととき
お預かりします。

2013年10月16日水曜日

After Crocodiles


詩人・浜江順子さん
10/14渋谷の老舗ライブハウス
「クロコダイル」にて
詩人・浜江順子さん主催の
2013 クロコダイル朗読会
『漂泊する声、ポエジーの港』が
開催され、ぼくも出演。

クロコダイル朗読会は
今年で19回目。
いまや盛んな
ポエトリー・リーディングの
草分け的な会で
ぼくも詩を書きはじめた頃に
観にいった。

今回はリーディングが主体。
前半は詩人・石川厚志さんと
ギターの清水悠さんの
デュオからスタート。
昨年の現代詩手帖賞受賞者の
森本孝徳さんや
渡辺めぐみさん
阿賀猥さん
吉田ゆき子さん

浜江順子さん
有働薫さんなどの
朗読や舞踏を楽しむ。

ぼくは
詩人・八潮れんさんの
トリオに注目。
オルファ・ベルーマさんの
フランス語訳との
クロスリーディング。
全体的に静かな雰囲気で
八潮さんの詩行の途中や
最後の語尾を
秒針の音や雨音のように
とつ、とつ、とつ
とスタッカートを入れつつ
規則的に
引き延ばしてゆく。
詩行の枝から
切り離された
日本語とフランス語の
声のかけらが
沈黙のなかを
こぼれ落ちてゆき
それが清水博志さんの
繊細なパーカッションと
虚空で絡み合いながら
再び下降していく。
言葉の土壌に
音素の枯れ葉が
音もなく降り積む。

後半は
ぼくと池井昌樹さん
佐川亜紀さんの
トークではじまり
つづいて石田と
エレクトリック・ギター
石井草実(そうま)くんの
デュオで朗読。
『まどろみの島』から
十篇を読ませていただいた。

佐川亜紀さんは
第四十六回
日本詩人クラブ賞を
受賞した『押し花』から朗読。
ご本人も
「社会派とよくいわれる」と
トークで
おっしゃっていたが
日本とアジアの声と現状を
文明批評にも似た
言葉で緊密に織り上げてゆく。
佐川さんの詩は
戦後派の「物」の
言葉を受け継いで
いるように思う。
社会を見つめ
詩人の感覚とともに
知性で構築されてゆく詩は
いまは、得がたい。
ぼくは
新鮮な気持ちで
佐川さんの声に
耳を澄ます。

池井昌樹さんは
『明星』を中心に
自作を、すべて
暗唱で朗読。
それは他者に向けて
声を発する
というより
ご自身の魂にも
語りかけているようで
ああ、だから
暗唱でもあるのかと
いまさら気づく。
池井さんの
詩を書く姿と筆音が
声のなかを
走っていった。

渋谷で打ち上げのあと
ぼくとギターの
石井さんは
浦和まで戻り
タイ料理屋
「ディージャイ」で乾杯。
金木犀の香りが
秋の夜気を充たしている。
そういえば
渋谷では金木犀の香りに
気づかなかった。

会にご来場のみなさま
出演者のみなさま
ありがとうございました。

あらためて
詩の鰐たちに乾杯。

2013年10月11日金曜日

秋のタイフーンと谷中と


台風24号が駆け抜けて
空から塵を
吹き払ったあとの
すごい夕焼け。
ブレイクが描いた
煉獄みたいだ。


台風の目?
カメラの眼と
かち合う。


写真機の小窓から
東京を覗いて
放心しながら
歩いていたら
いつのまにか
谷中。

谷中ぎんざ商店街
入口にある
古書店「信天翁」
(あほうどり)にて
来る12月21日
詩人の
児玉まゆみさん
小森岳史さん
カワグチタケシさんと
詩のリーディング
やります。
その打ち合わせ。

小森さん
カワグチさん
店主の山崎さん
神原さんと
「信天翁」(2F)下の
安くておいしい
中華料理店「深せん」で
「親子パンダビール」と
(なぜ「親子」?)
甕だし紹興酒を
吞みながら

おもに世間話
外のテラス席で
冷たい秋風と
金木犀の香りに
つつまれて
小一時間程
くつろぐ。

店内に戻り
ビートの話をしたり
古本を
物色しながら
(その件は明日の
ご報告)
ロックの話をしたり
二時間が
心地よく過ぎる。

閉店の午後
十時近く
三分程で
打ち合わせ終了。

(こんなふうに
友だちと
ひたすら
だらだら過ごして
遊ぶ時間
空気感を
小森さんらは
醸してくれる。
だれも
「早く打ち合わせ
しよう!」
なんて言わないし)

ああ楽しかった。

2013年10月8日火曜日

10/14「渋谷クロコダイル朗読会」出演


帰国してからも
旅はつづく…。

10/1に詩人の福間健二さんと
現代詩手帖新人作品欄選考で
対談。その後、
現在、企画が進行している
来春、海外での
朗読旅行に関する相談があって
思潮社編集部の
亀岡さんと出本さんと
新宿のバー「Rouge」
(アラーキーこと
荒木経惟氏監修のバー)へ。
深夜、ホテルに帰って
午前三時まで原稿…。

10/14にギターの
石井草実くんと東京・
渋谷「クロコダイル朗読会」
に出演します。