2015年10月31日土曜日

ワタリウム「JRの映像展 24fps」


   東京青山はワタリウム美術館の次回展示、「JRの映像展24fps」に翻訳協力をさせていただいた。
    ぜひ、お立ち寄りください。


    今週は『地形と気象』イベントのほか、東洋大学学園祭での講演、詩人の田中庸介さん主催のポエトリーマガジン「妃」のイベントに顔をだしたり、詩の催しがつづいた(上記、後ほどブログにアップします)。

    フランスの現代美術作家JRの展示は、11月7日がオープン二ング上映会。ぼくも招かれていたのだが、鹿児島は知覧での国民文化祭に出演するため、いけない。

    年末まで、イベントや大学での講義がつづく。エキサイティング!でも、打ち上げやパーティで呑みすぎないようにしないと。
    みなさんも、文化の秋をお楽しみください。

2015年10月30日金曜日

『耳の笹舟』、明日、刊行


   ぼくの第三詩集『耳の笹舟』が、明日、刊行になります。

   よろしければ、ぜひ、お手にとってみてください。

   装幀は、前詩集『まどろみの島』につづいて、奥定泰之さん。手にしていただければわかりますが、じつにこころにくい仕掛けがあります。自分でいうのもなんですが、美しいだけでなく、深さのある装幀の仕事ではないでしょうか。これはすべて、装幀家・奥定泰之さんのお力。

    本文は特色の黒、だろうか。光のもとだと、ほんのかすかに、濃い藍に傾くのだ。

    奥定さんの装幀に、詩の言葉が釣り合ってくれればと、願うばかりです。

    英訳タイトルは、ご存知、アメリカ現代詩学者の遠藤朋之さん。この場でお礼を申し上げます。

    通常詩集の1・5倍の行数はあるだろう、今詩集。入稿時は、手書きの原稿用紙で二百枚近かった。紙幅の関係で、それをさらに三分の二ぐらいまで、絞り込まざるをえなかったのだけれど。
    海外で翻訳発表されても、(なんと)いまだ日本語で発表されていない連作詩篇も、けっこうでてしまった。
    ゆえに、さまざまな方にお世話になった詩集です。編集に携わっていただいた、思潮社の高木総編集長と出本さん、こころよりお礼を申し上げます。

    この本の笹舟が、これからどこへ漂いでてゆくのか。楽しみです。

2015年10月28日水曜日

11/27は新詩集刊行記念イベント


   『地形と気象』イベントにつづき、来たる11月27日、下北沢の本とビールのお店「B&B」さんにて、イベントに出演します。

   もうすぐ、10月31日刊行のぼくの新詩集『耳の笹舟』と、佐峰存さんの第一詩集『対岸へと』の刊行記念イベントが、ゲストにいまもっとも注目されている若手詩人のひとり、岡本啓さんを加え、版元の思潮社さんの主催で開催。

    「現代詩手帖」11月号にも告知がでると思いますが、リンクは「B&B」さんの告知です。


   写真は、できたての、『対岸へと』。カバーアートは東京の湾岸のようでもあり、ニューヨークのようでもあり、境界が溶けあった、刺激的なコラージュ作品になっている。帯に「越境のトポス」とあるように。   

    詩人の野村喜和夫さんとともに、不詳、このぼくが『対岸へと』の栞文を書かせてもらったご縁で、今回のイベントの話がきたのだった。

    じつは今週の月曜日に、佐峰さんとはじめてお会いしてきた。場所は、秋葉原。とんかつ呑みをしながら、おなじ店で四時間ちかく話しこんでしまった。

    ソフトな声調で、とてもていねいな話し方をされる佐峰さんは、小学生のころに渡米。大学卒業まで、アメリカに在住されていた。大学は文学と批評のメッカ、イェール大学。ただし、国際政治学が専門だったとの由。

    佐峰さんが長らく滞在された、ニューヨークシティ郊外のロングアイランドのこと。911とイラク戦争。急速に右傾化する日本。日本文学とアメリカ文学。詩の話のみならず、佐峰さんとは、いまの国際政治の話でも、たいへん盛り上がった。それこそ、一本のイベントのごとく、とことん話しあったのだった。午後十一時。とんかつやの看板娘さんに、「もう、(いいかげんに)閉店ですから」と退出をうながされるまで。

    佐峰存という詩人。またひとり、ユニークで力のある若手がデビューしたと思う。
    いまからイベントが、楽しみ。

2015年10月24日土曜日

『地形と気象』イベント・レポート



写真    左から、詩人の暁方ミセイさん、管啓次郎さん、大崎清夏さん


    10月24日土曜日、左右社ホームページで連載中の定型リレー詩『地形と気象』の「中間報告会」が、下北沢のすてきな書店「B&B」で開催されました。
    『地形と気象』は、こちらから。


    ご来場のみなさま、ありがとうございました。

    さいきん、書籍化も検討されていることが判明したこのプロジェクト。左右社の編集子Tさんがパイロット版の特製リブレットを配布。

    はじめに、メンバー全員が、ディレクターである大崎清夏さんのiPad miniをまわし読みしながら、朗読。声にだして読んでゆくと、あらためて緊密感があるなと思う。それから、リレー詩にも登場する地形と気象、旅の話、創作秘話を披露。ミセイさんのチベット、啓次郎さんのカリフォルニア、そして清夏さんのつい最近のリトアニア。

    約十ヶ月、ともに書き綴ってきたわけだけれど、清夏さんが「連詩ははじめて」ときいて、いまさら、おどろいた。清夏さんの次がぼくの番なのだが、偉達だと思っていたので。即興性の高い連詩の場で、つねに安心して読める安定感と、瑞々しくフレッシュな感性と発想をキープする詩行は、さすが大崎清夏と、唸されたものだ。

    そばで啓次郎さんの朗読をきいて、あらためて気づいたこともある。現代詩は声にだしてきくとその意味がとれないことが多い。もちろん、それが悪いとはいわないけど。でも、啓次郎さんの詩の場合、詩的言語がそのままで明晰さを保持しており、きいているだけでも十二分に楽しめる。「見えない波」ツアーのときも同様で、ロンドンでは観客の女性が彼の英訳詩をきいただけで、とてもよかったと感想を述べにきていた。そして、このことは、詩が散文脈で書かれているか否かの問題ともちがう。書き手としての練度?
    啓次郎さんの詩的言語が、現代詩の書き手のそれと組成を異にしていることが、声からもききとれた。

    暁方ミセイという、詩人。するどい切り返しと、だれにも真似できない彼女自身の詩世界は、いつもリレー詩の全体を遠くへ、予期しなかった道標まで導いてくれる。

    お三方は、ぼくにとって、いまもっとも一緒にプロジェクトをしてみたい詩人。そして、このリレー詩はぼくにとって、すばらしいマスタークラスになっている。三詩人は、ぼくの先生でもあるのだ。

   会場には、詩人の田中庸介さん、そして、いま「現代詩手帖」投稿欄で活躍中の鈴木澪さんも足を運んでくださった。

    このリレー詩には、日本在住の文学研究者にして詩人Jeffry Johnsonさんによる英訳がある。リレー詩と英訳が完成したら、国内イベントとともに、海外イベントも企画されています。
    そして、下北イベントでは、啓次郎さんのハプニング的な発案で、フルメンバー本人たちによる英訳バージョンの朗読もあったのだった、、。

   さて、じつは、このイベントで、ぼくは致命的な発言をしてしまう。

   リレー詩メンバーは反デカルト的なこころやさしいアニミストなので、さまざまな動植物が重要な役割を果たすことになる。なかでも、犬。

    トークでも、詩人たちは犬派か猫派か、という話題になった。

    ぼくはその質問にたいし、「やっぱり、ぼくは猫派かなぁ。しなやかでもふもふだし、いいにおいだしね」と答えたのだ。

    そして、イベント翌日。

    おお、類稀な智慧と愛嬌を身につけたチョコ・ラブラドールにして、わが家の愛犬ハンナ。彼女の、なんと、冷ややかで怒りと侮蔑にみちた瞳が、ぼくにじっとそそがれていたことか。

    かの淑女は、ぼくがいくら犬用ビスケットでご機嫌をとろうと、鼻面をクンとうえにあげ、お手も、おすわりも、いちどたりともしないのだった。

2015年10月23日金曜日

明日は『地形と気象』イベント!


    左右社ホームページで連載中の定型リレー詩『地形と気象』、ぼくの番の「#44」が掲載されました。
    ぜひお読みください。


     そして、ついに明日は東京下北沢の本とビールのお店「B&B」にて、15時よりイベント開催!

     詩人の暁方ミセイさん、大崎清夏さん、管啓次郎さん、ぼくのフルメンバーで出演します。
    朗読、連詩秘話、大崎さんのリトアニアのお話など、もりだくさん!

     詳細はこちらから、


    ご来場ください!

2015年10月22日木曜日

秋のブランディー



   なかなかに風邪がなおらないのだが、原稿はまってはくれない。
    ところが、気がついたら、電車にのって、茅ヶ崎へ。人間の逃避精神とはこわいものだ。われながら。

    浜辺を散歩しながら、日没の相模湾をながめる。ウィスキー、というより、ブランディー色に枯れてゆく海だ。

    そんなことを詩人ぽく感応すれば、なんとなくひと仕事した気分になる。探偵ならこうはいかない。さいきん好みのキリンのスタウトビール二本を買い、グリーン車で帰路へ。

    そうだ、せっかくだから、海への供物として、ブランディーを呑もう。浦和で下車。「田楽」へ。

    マスターの上甲さんにたのむと、マールをだしてくれる。
    かの「ジュブレ・シャンベルタン・ドメーヌ・ドゥブレ」のシャンベルタン村(ブルゴーニュ)のマール。乾いた芳醇な葡萄の香りは、名門ワインのそれそのもの。

    二杯目のときに、軍鶏の卵でつくったプリンももらう。ブランディーとカラメルのソースが、マールによくあった。

    となりに女性はいないが、きょうも楽しく逃避行。22時、まだオフィスにいる編集者さんから、電話。

  「石田さん、そろそろ、あがりました?」

    「いえ、ちょっと、いまミューズとお会いしていて…」

    「…バッカスのほうじゃないでしょうね?」

   「……」

2015年10月20日火曜日

高岡修『虚無の見る夢』を読む



   11月8日に鹿児島は知覧で開催される国民文化祭。ぼくを招いてくださった、鹿児島の詩人、高岡修さんの『虚無の見る夢』(ジャプラン)を、ここ数ヶ月、かたわらに置いている。

    「新虚無僧伝」と副題にある、この書物。ひとことではいえない、とてもユニークな書物だ。

    「私」を語り部に、「虚道」さんという禅僧が主人公なのだけれど、純文学小説(時代小説?)であり評伝、仏教書でもある。また、高岡修という詩人であり俳人でもあるひとの詩学を如実に語ってもいる(「虚無」という言葉は高岡さんの詩にも俳句にも頻出するし、テーマとなっていると見受けられる)。その意味では、キメラ的な私小説ともいえるかもしれない。

   虚道さんは、これも高岡詩のテーマなのだが、「死児」なのだ。

   畏敬する高岡修さんは、詩も書き、俳句もつくり、批評もエッセイも書く。さらに、今回、小説(?)も書かれたのかとおどろいた。だが、その背骨たるや、詩であることに変わりはない。

    さまざまな他者の言葉、他者としての異ジャンルが交差することで、移動している本。ぼくはそんな書物を最近、別のエッセイで「旅する本」と書いた。

   そして、高岡修さんは「旅する詩」の書き手なのだとあらためて思わせる、不思議な余韻を、本書は秋の机辺で奏でてやまない。

    鹿児島で再会するのが、楽しみ。

2015年10月14日水曜日

第30回国民文化祭に出演



   角川書店での打ち合わせの帰り、神楽坂の鉄板や「新泉」でご馳走になる。隣のスツールにいた女性が鼻風邪気味で、まずいかな、と思ったときは、もう遅かった。ここ四、五日は風邪で寝込んだり、〆切に追われたりで、ブログも更新できないありさま。

    さて、来月の11月8日は、鹿児島は知覧会館での「第30回国民文化祭・かごしま2015」。フライヤーもとどいて、いよいよ本番がちかずいてきた。

    全国から詩作品を公募しての授賞・発表会をはじめ、すでにかなり盛り上がっているみたい。山下久代事務局長による、詩の事前講座も開催された。


    来週から東洋大学での連続講座、イベント、学園祭など、催しが多いのに、ほんと風邪なんかひいてられない。なんとかしないと。すこし、あせりはじめた。

    そんなとき、イギリスの詩人James Byrneにメールを書いていたら、「ホット・トディーでも呑んだら?」との返信。Hot Toddy。風邪に効くといわれる、スコットランドの飲物だ。早速、マグにスコッチ、はちみつ、レモンのしぼり汁とスライスをいれ、お湯でわる。

    ちなみにイギリスでは、子どもが風邪をひいたときに、コーラを沸かすかフタをとめないでおいて炭酸をぬき、飲ませる。これも、風邪の特効薬、らしい。

    ぼくは風邪をひいているのだから、じつに堂々とロバート・B・パーカーの「スペンサー・シリーズ」とトディーをもって布団にくるまる。トディーにつかったのは、ストックしてあったジョニ黒。二杯、おかわり。途中から、スコッチだけになった。

2015年10月7日水曜日

『地形と気象』+「B&B」イベント開催


 『地形と気象』が、いよいよ、イベントになります。

10/24、東京下北沢の本とビールのお店「B&B」にて、詳細はこちら。


    ディレクターの大崎清夏さんは、いま、リトアニアの詩祭にいっている。お土産話も期待できそう。

   ぼくも、アメリカの予定だったのだが、残念ながら、鹿児島は知覧での国民文化祭と、見事にバッティングしてしまった。

   学園祭をはじめ、秋からのイベントも多いので、今年後半は海外の催しには出演できない。

    基本的に、『地形と気象』はウェブ連載なのだけれど、ご存知、ぼくは最後の手書き派。写真にとるために、ひさしぶりにいままでの原稿をとりだしてきた。

    月一ペースではあるけれど、けっこう、書いたんだな、と思います。

    ちなみに、「B&B」さんでは、来月もべつのイベントに出演します。

    ぜひ、お越しください。

2015年10月5日月曜日

秋ビール




   秋は、ビールがもっともうまい季節。夏のビールは水みたいなもので、冷えすぎていて、なにかじっくり呑めるビールを味わいたい。そんなことをデスクのまえで妄想していたら、いい具合に雑誌の仕事がきた。

   秋葉原はmaach内にあるクラフトビールのお店、「常陸野ブルーイング・ラボ」。写真の「常陸野ネスト・ビール」のドラフトを中心にだしているビア・バー。高架下にある煉瓦と木の店内は、ビアホールの雰囲気にあふれている。神田川に面していて、夏は夕涼みをしながら呑めるだろう。

    ぼくは、三十行の詩を書けばいいだけ。肝心の仕事はカメラマンさんとライターさんがばっちりやってくださるので、三杯、四杯とビールを呑んでくつろいだ。

    茨城の伝統ある木内酒造謹製の地ビール。ホワイトエールも呑んだけど、日本人が苦手とする、ヨーロッパビール独特の甘重さがない。さっぱり辛口。オレンジピールのような香りが、秋にマッチして、うまかったです。カツ・サンドウィッチも、うまそうだったな。

    帰りは、北の丸をぶらつき、神楽坂で別の打ち合わせ。その後、鰻の「たつみや」で、一杯。

2015年10月2日金曜日

「まどろみの島ーUisce Agus Loch」展のレビューが掲載


    今年の五月に、大阪のフォトギャラリー・サイで開催された、写真家・赤阪友昭さんとのコラボレーション「まどろみの島ーUisce Agus Loch」展のレビューが、「現代詩手帖」10月号に掲載されました。

    執筆者は、詩人の岡本啓さん。

    うれしく拝読したあと、早速、葉書をだした。

    岡本さんの散文を読んだのは、はじめて。詩もいいけれど、散文も、センスあるなあ。

    ぜひ、お読みください。