2015年11月30日月曜日

「言葉の旅、詩の岸辺へ」イベント無事閉幕!



    去る11月27日、下北沢「B&B」で開催された、詩人の佐峰存さん×石田瑞穂×岡本啓さん(うえ写真左順)のイベント「言葉の旅、詩の岸辺へ」は、多くのお客様にご来場いただき、盛況のうちに閉幕。

    ご来場のみなさま、ほんとうにありがとうございました!

    この会の模様は、誌面収録の予定があり、詳しくは語りませんが、いま注目の新鋭、佐峰さんと京都から駆けつけてくださった岡本さんのフレッシュかつエネルギッシュなトークと朗読のおかげで、とてもいい詩の一夜になったと思います。すばらしいおふたりに、感謝を。

    サイン会も盛り上がりました。今回、「見えない波」チームが、ちょうど福島でのイベントで、残念ながら欠席。詩人では、佐峰さんの『対岸へと』の栞文を書かれた野村喜和夫さん、北爪満喜さん、渡辺めぐみさん、岡野絵里子さん、山田亮太さんらがおこしくださった。

    うえの写真は、かけつけてくださった写真家の小野田桂子さんが撮ってくださったもの。「YMOのジャケなかんじで!」とディレクションをくださり、よく見ると三人の視線が各々べつの方角を見つめています。小野田さんは、片瀬江の島高清のたたみいわしをプレゼントにくださる。パンクかつアバンギャルドな精神をもつカメラウーマンなのだ。

    このあとは交流会。「B&B」のみなさんにお礼を述べ、下北沢の呑み屋に消えることになる。12時ちかくに、解散。ぼくは渋谷のスコッチバーに立ち寄り、午前一時。翌日もイベントがあったぼくは宿泊先の青山のホテルにもどる道すがらさらなるバーをさがすが、なんと、あいている店が、ない。

    コンビニもなく、閑散とした246を煙草を喫いながら歩いていると、外苑方面から、ひとりの女性が歩いてくる。紅いワンピースのうえに皮のライダースジャケット。右手には重そうに、ワインボトル。左肩からはカメラをさげていた。

   女性が、「すみません、ライターを、かしてもらえますか?」。ぼくは、ゴロワーズのパックとともにさしだし、いいけど、そのワインをくださいとたのんでみる。女性は、「いいけど、ぜんぶはだめです」と答える。

    晩秋の肌寒い一夜。見ず知らずのぼくらは青山の路上で、数分間、煙草の火と、ワインを、交換した。ワインはすこし、香水のかおりがした。

2015年11月26日木曜日

明日は「B&B」イベント!



   なのに、菊の写真から。

   母が好物の菊のてんぷらを揚げてくれた。庭に咲いていた、菊です。

    衣をさくっとかじればふわっとひろがる、花の香り。花芯のそばの、ほのかな苦み。ビールにも、日本酒にもあう。秋の終わりを告げる味覚。

    昨日は三日酔いだった。月曜日が田楽でボジョレーヌーボー祭。火曜日に思潮社編集部の高木総編集長、出本さん、装幀家の奥定泰之さんが、江戸川橋の鰻や「はし本」で、『耳の笹舟』上梓のお祝いをしてくださった。
    そのあとバーで話しこんでいたら、なぜかこのメンバーで近々、イベントをやることに(笑)。早稲田大学にて詩と装幀、本づくりをめぐるイベントをやる予定です。

    家族や仕事上の友人に景気づけをしていただいたところで、明日はいよいよ、下北沢のブックストア「B&B」でのイベント。これだけ書いたので(苦笑)、ぜひ、おこしください!

    詳細は、こちら。


明日は、晴れそうです。下北沢で、お会いしましょう!

2015年11月24日火曜日

早稲田大学で講義



    今年も、今日から早稲田大学創造理工学部での詩の授業がはじまる。

    学生のみなさん、よろしくお願いします。

    去年から教えはじめたのだけれど、庭の大銀杏が、ちょうど金色に色づく時季なのだ。今年は暖冬のせいか、葉にうすく緑がのこり、黄金に染まりきらないまま、冬を思わせる風に散ってしまう。

    ぼくはPCを持たないので、ハンドアウトの原稿も手書き。

    それと、しつこいようですが、11月27日の下北沢「B&B」イベントも、よろしくお願いいたします!

    詳細は、こちら。

2015年11月21日土曜日

11/27は「言葉の旅、詩の岸辺へ」イベント!


   来週金曜日、11月27日。

   以前もお伝えしましたが、下北沢のビールも呑めるすてきなブックストア「B&B」で、佐峰存さんの第一詩集『対岸へと』とぼくの第三詩集『耳の笹舟』の刊行記念イベントが、刊行元の思潮社主催で開催されます。

    そして、ゲストはいま注目の若手詩人、岡本啓さん。京都から、駆けつけてくださるのです。

    時間は20時スタートと、ややおそめですが、夕食後のひととき、ドリンクを片手に、ともに詩のテーブルを囲みましょう。

    イベントの詳細は、こちら。詩集購入の方に、三人の詩人がサインもいたします!


   ぜひ、お越しください!

2015年11月18日水曜日

鹿児島のあぢもり





    鹿児島のグルメといえば、千日町の名店「あぢもり」の黒豚しゃぶしゃぶ。通称「黒しゃぶ」の味は、詩人の城戸朱理さんや野村喜和夫さん、小説家の柳美里さんや藤沢周さんらから、「いやあ、瑞穂くん、鹿児島といえば、あぢもりだよ」と、百回はきいていた。

    三十代前半で、その話をきいてから、ぼくは鹿児島にゆく機会があっても、あえてあぢもりには立ち寄らなかった。今回、やっと、高岡修さん、山下久代さん、城戸朱理さん、マッドバンビさんとくることができた。残念ながら、和合亮一さんは福島に帰らなければならず、ご一緒できなかった。

   まずは黒豚のバラ肉だけ、特製スープに「花が咲くように」ときいれる。ほとんど、アクがでなかった。最初は肉とスープだけ味わう。肉は花びらのようにやわらかく、じゅわーっと脂が口のなかにひろがる。舌がとろけるような余韻がのこっているうちに、焼酎。

    つぎに、鶏卵をスープに溶き、肉とからめて味わう。写真でみると、スープがすごくきれいでしょう。そして、お肉がつやつや、ぴかぴか、光っているでしょう。以前、東京の和食屋を取材したときに、その店では豚肉に微量の片栗粉をふっていた。和食では基本的な技術。おかしなことじゃない。それで豚肉につやをだすのだが、あぢもりの本物の黒豚は、そんな必要はないのだろう。

    着物姿の山下さんがもつのは、あぢもりのオリジナル焼酎。ほんとうは、店からもちだしてはいけないのだが、今回、お店のご好意で、焼酎がはいったままのボトルを、光栄にもぼくがいただいた。表が西郷さん、裏が大久保さん。その日の記念に、みなさんにマジックで寄せ書きをしてもらおうと思っていたのだけれど、黒しゃぶがあまりに絶品、酒もうまかったので、忘れちゃった。

    さらに黒豚のロース、バラ肉のとんかつ。あぢもりでは「本物の薩摩黒豚」だけをつかっているので肉にかぎりがあるとか。黒豚がなくなれば、営業はおわり。すべて、高岡修さんが、ごちそうしてくださった。

    十一時半ごろ入店してから、午後二時まで、呑み、食い、文学の話。大好きな詩人たち、山下さん、バンビさんとの、鹿児島での饗宴。十年ごしの夢がかなった気分だった。
   ほんとうに、ゆたかな時間だった。

2015年11月16日月曜日

for Paris


    パリ東部10区のバタクラン劇場界隈、郊外の国立競技場でISの犯行と見られる連続襲撃テロがおこった。犠牲者は120名を超え、昨日、オランド大統領は報復のためシリアを空爆。暴力が暴力を呼ぶ連鎖は、だれも否定できない。

    事件があったのは、レピュブリック広場ちかくの、レストランもたちならぶ静かな界隈。ぼくも、今年の三月に行ったばかり。夏には、ボルドーから、パリ育ちの友人が来日したのだった。まさか、こんなことになろうとは。ここ数日は、妻とともにフランスの友人たちにメールで安否をたずねた。さいわい、ちかしい友人たちはパリから離れて暮らしているひとが多く、直接の被害はなかったらしい。

  「見えない波」でお世話になった、パリ国際大学都市日本館のみなさんは、ご無事だろうか。 

    オランド大統領により非常事態を宣言されたパリから、仕事先の友人がメールをくれた。「パリはいま戦争のようです。たくさんの軍人たち、警官たちであふれ、サイレンが鳴りやみません。あなたといったバーのあるボルテール通りは、自爆テロで封鎖されました。追悼と反テロリズムのデモもつづいています。オフィスでは、だれも仕事をする気はないのですが、各国からの出張のキャンセルなど、対応に追われています」。

    フランスとシリアの犠牲者の方々に哀悼を、被害者の方々にお見舞いを述べたいと思います。フランスと世界にすこしでも早く、平和が戻ることを祈って。

    I extend to my friends and people of Paris, France my heartfelt condolences. 
   Also my deep sorrow and concern should be as well as to the inoccent victims in Sylia.

    I will be praying for a complete recovery for the world peace as soon as possible.

2015年11月14日土曜日

現代詩の祭典 in 南九州市に出演





    今朝5時ごろ、南九州市で震度4の地震があり、津波警報が発せられた。南九州のみなさんは、ご無事でしたでしょうか。

    去る11月8日日曜日、薩摩半島の南端にある知覧文化会館にて、「現代詩の祭典 in 南九州市」が開催。高岡修さん、山下久代さんらとともに、バスから見た桜島、錦江湾こと鹿児島湾の、うねるような光がとにかく美しかった。二日酔いも吹き飛ぶ。

    川辺郡に属した知覧町は薩摩の小京都と名高い。格調ある武家屋敷と1036柱の石灯籠がならび、水路がはしる。ぼくには金沢を思いおこさせた。会館のエントランスでは、名産品の知覧茶を高校生が淹れてくれる。御当地キャラの「お茶むらい」と記念撮影。

    南九州市長さんをはじめ、関係各位にご挨拶。2500篇もの応募があった文芸祭現代詩大会の審査員の宇宿一成氏、宮内洋子氏、渡辺めぐみさんにも挨拶。

    知覧は、特攻隊で知られる知覧飛行場があった町でもある。知覧特攻平和会館を視察。ゼロ戦や遺品の展示もあるが、特攻平和会館を特徴づけているのは、「言葉」だろう。おびただしい数の絶筆や手紙、寄せ書きなどが展示されていて、当時の特攻隊員ひとりひとりの胸中の言葉を、いまに伝えている。軍の検閲もあったらしいが、胸に迫る、いい展示だった。

    祭典のプログラムを紹介しておこう。

    川辺フィルハーモニー管弦楽団による「フィンランディア」の演奏。

    小中学生・一般の部公募作品表彰式。文部科学大臣賞など。
    選評は最終審査員代表の高岡修さん。「文学が滅べば、国も滅びる」と、熱い。すばらしい選評。

    知覧町連合青年団演劇部「劇団いぶき」による、知覧特攻隊員の言葉を題材にした朗読劇「留魂」。

    和合亮一さんによる、詩の朗読。

    城戸朱理さんを司会に、和合亮一さん、ぼくの鼎談「詩の現在、詩の未来」。

    この祭典の内容については、レビューが掲載される可能性あるので、ここでは詳しくふれません。

    ただ、さまざまなジャンルが交差しつつも、入賞した小学生たちの詩作品をふくめ、魂を洗濯してくれるような、胸に迫る演目ばかりだった、とだけいっておこう。涙腺がゆるみぱなしの午後だった。

    観客数は600人ほどときく。この祭典がお披露目だった『耳の笹舟』をはじめ、ぼくの詩集も完売していただいた。

    南九州市のみなさん、ほんとうに、ありがとうございました!こんどは、薩摩の小京都もゆっくり、めぐりたいです。

2015年11月12日木曜日

鹿児島より帰宅



    10日の夜に、「第30回国民文化祭   かごしま2015」の地、鹿児島より、帰宅。昨日は予想どおり、執筆と残務に追われ、呆然とバカラのショットグラスにスコッチを注いだのは、午前3時だった。

    気温が25度にとどいた日もあった、鹿児島。自宅のあるさいたま市の田園とは4〜7度の気温差があり、帰宅後はけっこう肌寒く感じた。

    庭にでると、だんだん、楓が色づいてきている。鹿児島は、椰子の木だったけれど。下の写真は、国民文化祭出演の記念品としていただいた、作家物の黒ヂョカ。鹿児島では、焼酎を水わりし、二晩ほど寝かせたものをこれにいれ、火にかけてお燗にするのだとか。千代香、茶家ともいう。この黒ヂョカは、ガスコンロにもかけられる、逸品だとか。把手も、アケビの蔓で編んである。

    これから、すこしずつ書いてゆくけど、実行委員長をされた詩人・俳人の高岡修さんをはじめ、ともに出演した城戸朱理さん、和合亮一さん、そして鹿児島で出会った詩人たちとすごした三日間はすばらしい時間だった。

    福島に帰る和合さん、福岡と唐津をまわる城戸さんと別れたあと。国民文化祭と毎晩の酒宴でお疲れなはずなのに、高岡修さんと山下久代さんが鹿児島空港まで車で送ってくださった。

    搭乗時間の十分前まで、ぼくら三人は空港のレストランでビールとアイスクリームとパフェを食べながら、最後まで詩について話しこんだ。

    鹿児島のみなさん、高岡さん、山下さん、城戸さん、和合さん、ほんとうにありがとうございました。桜島のすがたと、鹿児島の街の濃厚な夜の時間が、まだ体中を包んでいる気がします。

2015年11月6日金曜日

国民文化祭・かごしま2015へ


   写真家の赤阪友昭さんから、『耳の笹舟』のお礼状をいただく。

   手づくりのカードに貼付してあったのは、アラスカの作家の作品。「鳥の影に見えるのは、ワタリガラスです」との由。さまざまな野鳥が登場する本詩集への、連想もあるのだろうか。

    また、拙詩集へのお礼状やお手紙を、他の方々からもいただいております。この場をかりて、お礼を申し上げます。

    そのワタリガラスたちとともに、明日からは、知覧で開催される国民文化祭のため、鹿児島へ飛ぶ。 11月8日は、詩人の城戸朱理さん、和合亮一さん、そして鹿児島の詩人といえばご存知、高岡修さんとともに登壇する。

    ブログは11月12日までお休みの予定です。再開しましたら、ぜひおつきあいください。    

2015年11月4日水曜日

秋の大山へ






   田村隆一の『緑の思想』に「水」という詩がある。

   
      どんな死も中断にすぎない
      詩は「完成」の放棄だ

      神奈川県大山のふもとで
      水を飲んだら

      匂いがあって味があって
      音まできこえる

      詩は本質的に定型なのだ
      どんな人生にも頭韻と脚韻がある

 
   その大山に一泊二日でいった。あたご滝のバス停から歩いてすぐの旅館「東學坊」に宿泊。透明無臭の天然温泉につかり、大山の「水」でつくった、地酒と名物の豆腐料理で一杯。

    丹沢山系の水はあまい、あまい水。持病の耳鳴りも、湯とせせらぎのなかに溶け落ちてゆく。

    翌日はあいにくの雨。リニューアルされた大山登山鉄道にのって、阿夫利神社下社に参拝。
    
   紅葉は、ケヤキがきれい。カエデが燃えているころ、水はどんな味と音がするのだろう。