2016年1月29日金曜日

詩人たちの仁義なき戦い?


Photo(C)Keiko Onoda

    鎌倉は旧前田侯爵邸、いまは鎌倉文学館の薔薇の庭にて。

   すてきなブラック・アンド・ホワイトの写真は、写真家の小野田桂子さんがくださった。写真が見れない方は、小野田さんのページをごらんください。

    左から詩人の城戸朱理さん、高貝弘也さん、広瀬大志さん、バスク・ベレーのがぼく。

   先日の鎌倉近代美術館鎌倉館のクロージング・パーティのまえに、立ち寄ったときの写真。

    しぶい!とくに、広瀬さん 笑

    小野田桂子さん、ありがとうございました!

    みなさん、よい週末を。

2016年1月27日水曜日

ぼくの風邪薬




   関東で雪がふった翌日。仕事でいった東京の青山はビル陰の谷間になって、こごえそうだった。

    風邪をひきそうだったから、浦和の軍鶏料理や「田楽」へ。ここに、ぼくの風邪の特効薬があるのだ。

   すると、京都に旅行していた、シェフの上甲さんが、いいものがある、と、ジャンルイ・シャーブのピノを注ぎ、とり皮を焼いてくれる。いっしょにでてきたのは、京都の老舗「中東」のオリジナル山椒油。ベースは米の油で、これをとり皮につけて食べるのだ。山椒のつんとした刺戟を、ふくよかな米の油がつつんで、鼻腔にやわらかい。それでいて、香ばしい。おしゃれだなあ。

   なかひがしは毎月一日10時から予約の電話を受けつけており、一時間ほどで一月分の席がうまる。上甲さんの奥さまが、60回かけなおして、やっと予約がとれたそうな。

    ひとしきり  上甲さんから中東の印象をきいたあと、いよいよ「風邪薬」へ。三番目の写真、栃木軍鶏プレノアールの手羽先にんにく炊き。軍鶏の白湯が絶品で、肉はもちろん、ほろほろ。ちょっと、韓国の参鶏湯を彷彿とさせる。

    これと竹鶴吟醸のぬる燗で、たいがいの風邪っ気は、ふっとぶのだ。

2016年1月25日月曜日

山内功一郎『マイケル・パーマー』を手に


    「ビート派以降」、あるいは「言語詩」の詩人として知られる、現代アメリカ詩人マイケル・パーマーのモノグラフ、山内功一郎著『マイケル・パーマー    オルタナティブなヴィジョンを求めて』(思潮社)が刊行され、ぼくのもとにもとどいた。

    静岡大学教授であり、ぼくの学んだ獨協大学の先輩でもある、山内さん。昨年、神楽坂の名物喫茶店「トンボロ」でお会いしたときに、本書のお話をきかせていただいた。

    すばらしいモノグラフであり、詩的批評書。ここにすぐにでも紹介を書きたいが、書評を書く可能性があるので詳述はひかえます。

    かわりに、詩人の野村喜和夫さんの帯文を以下に抜粋しよう。

   「精緻な分析がある。対象への深い愛がある。同時代の思想や芸術への広い視野にも欠けていない。そしてなにより、それらすべてを運ぶ文書がすばらしい。本書は、現代アメリカを代表する詩人マイケル・パーマーのモノグラフとしてのみならず、第一級の詩論書として、近年まれにみる成果のひとつに数えられよう。」

    ご刊行おめでとうございます、山内さん!

2016年1月22日金曜日

『地形と気象』完結


   左右社ホームページで連載していた、詩人の暁方ミセイさん、管啓次郎さん、大崎清夏さんとの定型リレー詩『地形と気象』が完結しました。

   下記アドレスから、ぜひ、お読みください。


    しんがり「#52」は、不肖、ぼく。52という数字はトランプカード1セットの数字で、啓次郎さんの発案による。いま、いちばん一緒に書いてみたい詩人たちとポエジーをかわした一年間は、とても刺戟的でした。終了してみると、とてもさみしい。
  
    すばらしい詩人のみなさん、左右社編集担当の東辻さん、そして応援してくださった読者のみなさん、ほんとうにありがとうございました。

    好評をもちまして、このプロジェクトは書籍化が決定しています。なんと、英訳つきのバイリンガル。本ができたら、海外にもゆきたいと、メンバー間で話しあっています。いままで完結をアナウンスできなかったのは、この英訳が完成していなかったから。

    おなじく左右社ホームページでは、『地形と気象』につづき、「見えない波」第二波が連載開始の予定。こちらも、豪華なメンバーになりそう。
    
    乞うご期待!

2016年1月18日月曜日

鎌倉の新年会


   去る1月16日土曜日。
   鎌倉の詩人、城戸朱理さんから、惜しくも閉館がきまった神奈川県立近代美術館鎌倉館のクロージングパーティに誘われる。

    パーティは夕方だから、鎌倉文学館の展示を観て、詩人の田村隆一が本を売ったこともある鎌倉は由比ヶ浜通りの古書店「公文堂書店」など、古本屋に寄り道してからいこう、ということになった。メンバーはほかに、詩人の高貝弘也さん、広瀬大志さん、写真家の小野田桂子さんである。

   午後二時半に鎌倉駅西口でまちあわせ。高貝さん、広瀬さんとお会いするのは、一年ぶりくらいだろうか。うれしい。新年会は、もともと詩人の田野倉康一さんの発案らしく、詩誌『洗濯船』の同窓会でもあっただろう。そこに野村喜和夫さん、ぼくと妻も呼ばれたのだった。田野倉さんと野村さんはスケジュールがあわず、今回は欠席されたのだが。

    鎌倉文学館では、大佛次郎、小津安二郎、川端康成ら、鎌倉に住んだ作家などが愛用した品々を展示する「作家  身のまわり」展が開催。ぼくらは、川端康成の文机や、里見弴のウォーターマンの万年筆、小津が『東京物語』でも小道具として使用した、かの「赤やかん」をながめる。鑑賞後は、三島由紀夫の小説舞台ともなった旧前田侯爵家別邸のまえで記念撮影。薔薇庭から相模湾の水平線が、視界いっぱいに、きれいに望めた。

    それから、公文堂や游古堂といった古本屋をめぐる。ぼくは游古堂で、鎌倉文学館でも初版本が展示されていた、青山二郎装の中山義秀『碑』初版を購入。上写真がそれです。

    鎌倉近代美術館のクロージングパーティは、大盛況。NHKの日曜美術館でも放映された近美は、有終の美をかざった。近美のパティオというか中庭が会場で、建畠晢さんが加納光於氏と話していたり、詩人の高橋睦郎さん、先日もローライ同盟でお会いした写真家の今道子さん、アメリカ現代詩研究者で詩人の新倉俊一先生もいらしていた。ちなみに、メディアでは通称「カマキン」だが、地元鎌倉市民は近美と愛称していたのだそう。

    夜になり、ちかくのビア・バーへ席をうつす。高貝さん、小野田さん、妻がぼくのバスク・ベレーをかぶって遊ぶ。そのバスク帽をかぶり、スコットランド・ビールを手にした高貝さんのポートレートを小野田さんが撮影。  
   それから、永井龍男や小林秀雄がかよった小町通の割烹「奈可川」で新年会。新鮮なぶり、はまち、いわし、まぐろのお刺身。このわた。あわび。風呂吹き大根。玉ねぎを三日三晩煮込んだ、飴色をとおりこして黒光りする特製ビーフシチュー。穴子と鯖寿司などをいただく。広瀬さんはブラピやキアヌ・リーブスと会食した話を披露。また、ほぼ毎週末、イベントへの出演依頼があるらしい。明日は前橋の関係者と打ち合わせだとか。高貝さんは、いつも携行しているスケッチブックに書かれた自筆原稿を見せてくださった。城戸さんは、トートからおもむろに桃山時代伝世品の絵唐津盃をとりだし、酒を注ぐ。城戸さんも、明日から吉増剛造さんと京都。若き『洗濯船』同人たちの交遊、思い出噺もきけて、とても楽しい一夜だった。

    慙愧の念に堪えないのは、スマホで撮った写真がブロガーの不調で、すべて消えてしまったこと。写真はあとで小野田さんからいただこう。

    新年の初雪にとざされた、今朝。中山義秀『碑』を手に、ぬる燗。古武士の物語を読みながら、鎌倉の余韻を味わっていた。

2016年1月14日木曜日

妻の新しい翻訳書


    妻の三冊目の翻訳書を読む。じつは、昨年秋に刊行されていたが、人気があってなかなか手にはいらなかったのだ。

    西村・プペ・カリンさんの『フランス人ママ記者、東京で子育てする。』(大和書房)という本。日本人男性と結婚したAFP通信東京特派員記者ことプペさんが、ご本人の妊娠、出産、育児を軽快な筆致でえがいた。

    宣伝みたいだけど、とてもおもしろく拝読しました。

    日本とフランスの出産育児環境や制度の比較もさることながら、文化のちがいも興味ぶかいのだ。

   たとえば、日本のお母さんは赤ちゃんの誕生を機に、夫とは別の寝室にうつり、赤ちゃんといっしょに寝るようになる。日本の男性にとって、これはごく普通のケースだろう。むしろ、ありがたい?でも、日本人女性と暮らすフランス人パパにとっては、おおいに不満らしい。「べべより、もっとぼくをかまってよ!」ということなのかしらん  笑  すごく、フランス人男性ぽいなぁ。そんな姿から、ふと自分をかえりみる瞬間もある。
    フランスでは、赤ちゃんははやくも独り寝する。それで、ぜんぜん大丈夫なんだそう。ぼくのママ友?も、夜泣きで眠れないとか、大変だ。本書を読めば、すこし子育ての気分も変わるかもしれない。しかし、プペさんご本人はフランスの慣習に抵抗があり、夫との寝室にベビーベッドをおいているのだとか。

    ぼくはまだ父親じゃないけど、基礎から勉強になったし、日仏夫婦論、男性論としてもおもしろく読めた。イラストは、プペさんの夫、じゃんぽ〜る西さん。西さんのフランス滞在マンガも、ぼくは好きで読んでいて、フランスにいったときは参考にしたり、話のネタにさせていただいたりしている。
   本書も、東京在住のフランス人パパ友?との、会話の種になりそうだ。

    ぜひ、お手にとってみてくださいね。

2016年1月12日火曜日

買っちゃった。



   三連休、原稿用紙がつきかけているので、神楽坂の山田紙店へ。ところが、おやすみ。相馬屋も。

   いたしかたなく神保町の三省堂へ。こちらも、めぼしい原稿用紙はない。

    あきらめて帰ろうとしたら、ことしはまだダイアリーを購入していないことに気づき、毎年つかっているモレスキンのコーナーにゆく。

    すると、ことしの限定版モレスキンは、スターウオーズだったのだ。ほんとうはカイロ・レンがほしかったけど、ルールド・ノートブックしかない。週間ダイアリーのダースベイダー卿にする。

    エピソード7は、すでに去年の八月に前売券を購入。公開初日の12/18にシネコンにかけつけたのだが、あまりの人混みにおそれをなし、退散してしまったのだった。

    このモレスキンをひらくたび、あの交響曲を、つい口笛でふいてしまう。妻は、「帝国主義者め、お不動さまのシールを、ダースのうえからはっちゃうよ!」と、いっている。

2016年1月7日木曜日

『現代詩手帖』2016年新年号に詩が掲載



   そうだ、詩が掲載されました。

    タイトルは「Mirror, mirror」。「鏡よ、鏡」、あの白雪姫の有名な台詞です。連作詩「Asian Dream」の一篇で、タイトルのもとは、気鋭のサックス奏者Greg Osbyの1989年の名盤『Mindgames』におさめられている同名の曲。

    「Asian Dream」はこれで八篇目が掲載。この詩までは、ペンは銀軸のファーバーカステルで書いています。

    グレッグ・オズビーは、80年代末に、Steve Coleman、Gary Thomasらとともに新たなアフロアメリカン・ジャズを標榜する「マクロベイス」、通称M-Bassの旗手のひとりとして登場。暗いトーンで、反商業的で、アグレッシブ。ジャズ、ロック、ファンク、ヒップホップを横断するダークカラーの音楽は、ずんと重くて、とにかくかっこよかったなあ。
   「Mirror, mirror」は、霧のたちこめるような不穏な静けさをただよわせる曲で、グレッグの音楽性がよくでています。

    今回の詩篇では、さらに、かの覆面バンドSlip Knotにもオマージュを。急逝した、歿後五年になるポール・グレイにささげました。かれのベース、好きだった。スリップ・ノットに詩をささげたのは、世界ひろしといえど、そんなにいない気がする。どなたか他にご存知であれば、ご教示ください。

    ぜんぜん関係ないけど、東京の神保町に「覆面」ていう魚介系のラーメン屋があるの、知ってます?かつては、真夏でも店員さんがルチャのマスクをかぶって、営業してました  笑  ラーメンもおいしかったです。

    それと、この場をかりて、お礼を。

    『耳の笹舟』を、毎日新聞で城戸朱理氏が、東京新聞で箱船氏が、讀賣新聞で阿部公彦氏が、日本経済新聞で佐々木幹郎氏が、産経新聞で杉田記者がとりあげてくださいました。
    また、『現代詩手帖』では、詩人の斉藤倫氏が書評を。阿部嘉昭氏が「詩書月評」でとりあげてくださいました。まだ、把握していない評もあるかもしれませんが、お礼を申し上げます。

2016年1月5日火曜日

おばあちゃん鶏


   おせちや雑煮にあきてきたころ。妻が、南フランスの伝統料理をつくってくれた。

    写真はその「おばあちゃん鶏」。うちでは略して「おばち」という。

    ルクルーゼにバターをとかし、鶏のウイングスティックを焼き色がつくまで焼いたら、ニンニク、タイム、ローリエ、セージ、塩、黒胡椒、水をくわえ、三十分ぐらい蒸し煮するだけの料理。

   つけあわせは、茅ヶ崎のジャガイモのマッシュ。鶏の煮汁をかけて食べると、うまいです。

    うちは牛豚肉、四つ脚は、ほとんど食べない。見沼の豆腐や野菜がメインで、ときどき鶏や魚を食べる。

    おばちは、ぜひ、昼下がりにロゼや辛口のブリュットをおともに、むしゃむしゃ食べてほしい。

2016年1月3日日曜日

見沼の雑煮



   お正月、いかがおすごしでしたでしょう?ぼくは、2日から仕事   苦笑

    元旦は家のちかくの女氷川神社にお参り。女神・奇稲田姫命を御神体として祀る、関東でもめずらしい女躰神社で、関東一ノ宮氷川神社、中川の中氷川神社の系列でもある。社殿を新築したのだけれど、三百五十年前の偉容にもどしたのだとか。これも、リニューアル?

    写真上は、妻がつくったお雑煮。八頭、人参、葱、のし餅とひき餅。つゆは、だしとしょう油だけで味をつける。餅は見沼のもち米を臼と杵でついたもの。水をふくめ、見沼産でないものは、しょう油とだしぐらい。昨年は八頭が不作だったらしいけど。
    うつわは土楽窯、福森雅武さんの向付。

    写真下は、ぼくがくらす田園。枝は関東屈指の桜並木のさくら。朝七時に家をでて仕事場にむかう。セキレイ、ジョウビタキ、ツグミの鳴き声。川にはカモ、そしてカワセミの瑠璃色の残光。
   ことしも自然とともに生き、生かされる日々を実感する一年になりそうだ。それは、とても、幸福なことだと思う。

2016年1月1日金曜日

謹賀新年2016



    新年あけまして、おめでとうございます。

    写真上は、ぼくの2016年書き初め。下は、義理のお母さんからのお土産。フランスはアルザスの民芸品だそう。

    日本とフランスの、友好を願って。

    昨年は、新詩集『耳の笹舟』(思潮社)の刊行をはじめ、詩人の暁方ミセイさん、大崎清夏さん、管啓次郎さんとの定型リレー詩プロジェクト『地形と気象』(左右社)、画家グサビエとのパリでの朗読、大阪の「ギャラリー・サイ」で開催された写真家・赤阪友昭さんとのデュオ展「Uisce Agus Loch」、鹿児島は知覧で開催された国民文化祭「現代詩の祭典 in 南九州」など、もりだくさんの一年だった。イベントの出演は16回。
    今年は「Uisce Agus Loch」の第二弾、『地形と気象』の書籍化、そして、「見えない波」の第二波も、いよいよはじまります。

    本年もどうぞよろしくお願いします!

    みなさんの一年が、どうか、平安で、実りある、佳き一年でありますように。