2016年2月29日月曜日

河井寛次郎美術館をたずねて


   五条松原から、河井寛次郎美術館へ。一年ぶりの来館だろうか。町屋づくりのこの美術館は、旧河井寛次郎邸であり、河井窯でもある。
    作品を観るというより、ぼくはこの河井寛次郎がつくり、ととのえ、暮らした空間に身をおくことを目的としているのだ。ちなみに、自宅には河井寛次郎作の花瓶と湯呑があるのだが、その両方に、時折り、母が野花や茶花を活けて愉しんでいる。

    写真は、河井寛次郎が実際に轆轤をひいた仕事場。美術館では受付で事前に商用でないとのことわりをいれれば、館内で撮影もさせてくれる。とはいえ、バスでのりつけてきたツアー客たちは、「この色がええなぁ」とかいいながら、バチバチ勝手に記念撮影してゆくのだが 笑

    なおしがまったくはいらない墨筆の戦中日誌、窯の構造図やアルファベットがほんとうにきれいで几帳面な学生ノートをしばし眺める。仕事場の奥、床の間に祀られているのは、円空仏だろう。初期李朝の祭器におそなえがしてある。主人が不在でも、仕事場の空気は凛としていた。作品も仕事も仏とした、陶芸家の家らしい。

    火のはいらない登窯からは、ホオジロがあわてて飛びだす。

    美術館のそばにあったすてきな市川珈琲店で小憩。祇園まで歩く。
    午後から、京都在住の詩人、岡本啓さんと会うのだ。

2016年2月26日金曜日

満寿屋オリジナル原稿用紙



    京都からさいたまの田園に帰ったら、雪が降っていた。

    そして帰宅すると、原稿用紙の満寿屋さんから、注文していた名入原稿用紙がとどいているではないか。

    朝日新聞、埼玉新聞から詩の依頼をいただいたので、さっそくつかってみる。

    ぼくが注文したのは、満寿屋謹製36番「赤罫ルビなし原稿用紙」。左下罫外に「石田瑞穂 用箋」と入れていただいた、オリジナルの原稿用紙だ。
  『耳の笹舟』上梓の記念にいただいた、限定パーカー・デュオフォールド・チャイナレッド・モデルにあわせて注文。これで、いまとりくんでいる連作詩「Asian Dream」を書きあげるつもりです。ペン先の調整中なので、インクはパーカーのブルーブラックを使用。書き味は、いうまでもなくなめらか。インクの発色、吸い、ともにいい。罫のおおきさも、とても書きやすいサイズ。

    オリジナル原稿用紙の名入注文は、千枚から。ぼくはPCをもたないので、だいたい一年でつかいきる。
    満寿屋さんの原稿用紙はいまもいろんな作家さんやライターさんにつかわれているが、すごいのは作家の司馬遼太郎。
    日本がオイルショックに見舞われた1970年代。司馬遼太郎は「小説家に原稿用紙がなくては大変だ」といい、すぐさま五万枚を電話口で発注したとか。

    ぼくは、スマホで注文。それでも、満寿屋の方がメールで、ごく丁寧にやりとりしてくださった。浅草の老舗の、折り目ただしい対応に、うれしくなる。
    もう原稿用紙全盛時代ではないと思うけれど、これからもずっと応援してゆきたい。

2016年2月25日木曜日

京の酒、めなみの夜






   京都出張の酒。ひと晩め、三条京阪のおばんざい「めなみ」へゆく。
   以前、仕事で先斗町の旅籠に二カ月ちかく滞在したことがあり、そのとき、宿のご亭主によく連れていっていただいた。ご亭主のお父さんの代からかよっていたお店だそうで、戦前からあるという。

    おばんざいは「万菜」とも書くけど、カウンターには大鉢がならべられ、そこに生ゆば春巻、牛脛肉、京野菜のたいたんなど、さまざまなおかずがはいっている。このスタイルをあみだしたのが、めなみさんだといわれているのだ。
    いまのめなみさんはカジュアルな割烹というかんじだが、本来は、京都の伝統料理や家庭料理を気軽に外食できるお店が万菜。晩ごはんを食べにゆくお店だから、おばんざいという地元のひともいる。京都の町のひとはふつうに居酒屋としかいわない。めなみさんも、だし巻き卵や焼き鳥をだしたりする。
    京都撮影所時代、小津安二郎監督もよくきたそうで、映画『お茶漬けの味』にでてくる店は、ここをモデルにしたとか。

    肴はお造りではじめる。京都でよく食される、ぐじのお造り。ねっとり、舌先にからまるような身でいて、味はこくがあるのに、淡白。鱧やぐじを食べると、ああ京都にきたなぁ、と実感する。
   酒は、白雪のぬる燗で統一。
   めなみさんで、かならず食べたいのは、おから。口に含むと、すこし酸味をかんじる。もちろん酢がはいっているのではなく、おだしの旨味がきいていて、舌がそうかんじるのだ。

    昆布、かつおなどからていねいにひいたおだしは、塩分ひかえめだけれど、関東育ちのぼくにとってはそれだけで濃厚な風味にかんじる。旅籠のご亭主がいうには、おだしにしても昆布とかつおのふし(鰹節)や椎茸などをベースにした「白」、野菜や大豆をくわえる「緑」、うるめいわしのふし、あごのふしなど各種魚貝のふしをくわえる「赤」など、いろんなだしがあるのだとか。そして、さらに一番、二番、三番などといって、おだしをひいてゆく。「これがむかしからの京都庶民の味、基本形」なのだそう。ご亭主がぼくをよくめなみさんにつれてきてくれたのは、「ほんまの京の味を覚えてほしい」からだそうな。
    おからとともにぜひ食べてほしいのが、京大根とおあげのたいたん。カウンターの鉢にも面取りした厚みのある京大根が、このおだしにつかっている。だしのよく染みた大根、だしをよく吸ったふわふわのおあげに、山椒をふりかけて、「あつっ、あつっ」とかいいながら食べるのだ。

    さいごは、かす汁、漬物とご飯をもらって〆。祇園の「さんぼあ」にゆくころには、都の夜はしんしんと冷え、更けてゆく。

     来週はふた晩め、「ごだん   宮ざわ」さん。

2016年2月22日月曜日

きょうから京都



    今朝から、京都。

    もう、そんなに寒くない。

    京都へは電通京都さんとの仕事があるのと、某テレビ番組に出演することになり、その下見にきたのだ。お題は、ミシュランガイド2016で星をとった、京懐石「ごだん 宮ざわ」さん。

    きょうは電通京都のHさんらと「松葉」で昼食。にしんそばで、ぬる燗二合。打ち合わせ。そのあと、ちょっとだけ寺町美術通りを徘徊して、夕方から二十年ちかいおつきあいの木屋町のおばんざい「めなみ」でHさんらと再合流。小津安二郎監督の『お茶漬けの味』のモデルになったいわれるお店だ。夜は河原町の国産ワイン専門のワインバー「たすく」、さいごは老舗バー「さんぼあ」。

    あすは、午後から夕方までフリー。詩人の岡本啓さんと黒澤明監督が通った河原町「志る幸」でランチ、「フランソワ」で珈琲、鴨川を散歩の予定。もしかすると、一乗寺のカリスマ書店「恵文社」さんへ。

   そして、夜は「ごだん 宮ざわ」さんの扉をくぐる。

2016年2月19日金曜日

『耳の笹舟』チャリティー・リーディング



     東京は外苑前のお寺、梅窓院さんで2月17日、ぼくの新刊詩集『耳の笹舟』のプライベート・リーディングとトークの会が開催された。四十名ほどのお客さまがご来場くださる。
    東北のためのチャリティー・リーディングにもなっていて、ぜんぶで二十万円をこえるご寄付をいただいた。義援金は、東北の子どもたちに教育関連費として寄付される。

    ご来場のみなさま、ほんとうに、ありがとうございました。

    リーディングのあとは、白金台のシェラトン都ホテルへ。大阪在住の写真家、赤阪友昭さんと再会。ことしで第二回となる、友さんとぼくのプロジェクト「Uisce Agus Loch, vol.2」の打ち合わせをした。ぐっと、パワーアップしそう。この初夏と夏、関西方面で開催予定です。

    友さんはいま、福島の会津市、南相馬市と協働しつつ写真のプロジェクトもされている。3月4日には、南相馬市主催のシンポジウムにもパネリストとして参加されるのだとか。ぼくもシンポと友さんの撮影にたちあうべく、同行させていただく予定だった。ところが、3月11日にちかいこともあって、常宿はほぼ満杯、だという。震災から五年になろうとするいま、かえって関心がたかまっているのは、個人的にはよろこばしいことだと思う。

    震災に関連して、赤阪友昭さんはオランダからドキュメンタリー映画を日本に招こうとしている。リ・ワイルダリング、すなわち文明が行き詰まり、無人化した土地で自然や絶滅危惧種が回帰する現象をテーマにした映画なのだが、3月11日に、ご存知、管啓次郎さんの主導で明治大学中野キャンパスにて上映会が開催される予定だ。

    詳細は未定だが、ウェブなどから、ぜひご注目ください。

2016年2月17日水曜日

新倉俊一詩集『王朝その他の詩篇』を読む


   新倉俊一さんの新詩集『王朝その他の詩篇』(トリトン社)をお送りいただく。くりかえし、読みふけった。

    ぼくの場合、さんづけなぞ畏れ多い。ぼくは二年間、新倉先生のアメリカ詩講義をうけたのだから。
    新倉先生は、金関寿夫先生、沢崎順之助先生、鍵屋幸信さんらとともに、日本におけるアメリカ現代詩研究、翻訳、紹介者の草分けのおひとりとしても高名だ。
    新倉先生がいらっしゃらなかったら詳細な注釈の附されたエズラ・パウンド『詩経』完訳や『エミリー・ディキンソン詩集』は読めなかったわけだし、『西脇順三郎    変容の伝統』、博覧強記な『西脇順三郎全隠喩集成』など、日本における本格的な西脇研究書も読めなかった(新倉先生は慶應生時代、西脇順三郎の学生でもあった)。もちろん、『エミリー・ディキンソン   不在の肖像』も。そして、数々のアメリカ現代詩の翻訳と紹介文。いまも、すべて、ぼくのバイブルだ。

    イントロダクションはさておき、本詩集は、「能のワキとシテという構図を借りて、前半は王朝文学の美を題材にして、後半では現代詩人たちを扱いました。末尾にパウンド自身がシテとして現れています。」(トリトン社紹介文)というもの。みじかく彫琢された美しい詩行には、世阿弥から西脇順三郎、日本現代詩、アメリカ現代詩までが能管と鼓のごとく響きわたっている。味わい深い、翻訳としての詩空間。読後、そんな感慨にひたった。うすい装いの、ささめきがつまったような、かろやかな詩集。でも、そこには言葉の存在の重みが、たしかに宿っている。

    書きたいこと、讃えたいことは、多々あれど、一点だけ。

    詩集後半の日本現代詩のパートでは、鮎川信夫、田村隆一、北村太郎といった戦後詩人たちも召喚されている。
    新倉先生は生前の「荒地」の詩人たちとも親交があり、ぼくも講義の内外でたくさんお話をきかせていただいた。西脇詩もそうだけれど、実際の交流から、新倉先生にしか書けない戦後詩人たちの姿や声が本詩集にはちりばめられていると思う。

    では、シテとワキを交代して、ぼくからも、新倉先生にまつわるエピソードをひとつ。

    十数年前。新倉先生による大学院生のための講義で、テーマはエドガー・アラン・ポーの長詩「大鴉」だった。前期講義の最終日。授業のおわりに新倉先生は、一枚のタイプ紙をとりだす。ぼくも、たまには楽しまなきゃね」とおっしゃり、おもむろに自作の詩を朗読された。その未発表作品は、新倉先生自身の言葉とともに、パウンドを思わせ、西脇を思わせた。静かに、それでも新倉先生のよくとおる声で、朗々と読まれた。余韻の残る、とてもいい詩だったと記憶している。

    その詩は、本詩集には収録されていないと思う。ぼくは、感銘をうけ、授業後、ぜひその詩をもういちど読ませてくださいとお願いしてみた。

    先生は無言で微笑まれ、詩の草稿をかるくたたまれると、灰色のスーツのポケットに、そっとしまわれたのだった。

2016年2月15日月曜日

ことしのバレンタインは





   原稿と海外とのやりとりで忙しくなってしまい、ブログが滞りがちになってしまいました。

    そんななか、妻がバレンタインのランチにつれだしてくれる。

    まずは、北浦和で岩盤浴。一汗かいたところで、ちかくのトラットリア「畑の鍵」さんへ。とはいえ、こちらのシェフは十代でフランスへわたり、修業された方で、基本はフレンチ。でも、イタリアンも好きでやっているのだそう。その名のとおり、埼玉の地野菜をメインに、有機栽培野菜にこだわったお店だ。
    スタートは山盛りのサラダがでて、つぎは写真のアントレ。鴨の自家製燻製、手づくりアンチョビマヨネーズとポーチドエッグ。鴨は川越、ロマネスコは越谷産だとか。ローストポークとポテト。豚は埼玉のかおり豚。
    農産県埼玉には、近年、こういった地産地消を旨としたレストランがふえてきている。野菜はとくに色、味、香り、ともに濃い。オーベルジュエスポワールもそうだけれど、フランスでは地産地消にこだわった職人的なレストランがブームでもある。極端な場合、そのレストランのある地域の農産物しかつかわない。
    以前、名栃木軍鶏として知られるプレアノール種の生産者の方がいっていたのだが、冷凍や輸送技術が発達したいまでも、半径40キロメートルを越える搬送はどうしても肉、野菜の鮮度をおとしてしまうのだという。そういえば、星岡茶寮時代の北大路魯山人がもっともこだわり、苦慮したのが素材の鮮度だった。
    いくらおいしい素材でも、新鮮でなければ味はおち、いくら鮮度のたかい地産の素材でも、おいしくないと、こまる。素材の味は、料理にとって永遠のテーマなのだろう。

    チョコレート・ブラウニーもあまさひかえめで、美味。うるさいことはいわず、こうして不自由なく食べられることが、奇跡的な幸福なのだろう。あすから原稿をがんばろう、と思う。

    本ブログは、食ばかりではなく、詩のことも書かないといけないのだが、最近、机のまえをはなれられなかったもので。ご容赦を。あ、でも、机のまえにいるのが正常なのか。次回は、文学やアートのことも書きます。

2016年2月10日水曜日

冬の終わりのきもかわ




    きもかわいい、のきもかわではありません。魚のかわはぎときものこと。

   ひさしぶりに四谷の寿司割烹「三谷」へゆく。かつて近所に住んでいたことがあり、ときおり足をはこんでいた。食雑誌などでよく取材されていたから、なかなか予約もとれなかった時期もある。待望の再訪だった。

    ところが、この夕方、仕事先でのランチに食べたフレンチのコースが重く、おまかせの寿司までは完食がきびしかった。

    自家製のからすみで一杯。酒は謹製白鷹大吟醸のぬる燗。三谷さんの燗は、五段階で温度差がつけられるという。吟醸酒も、三谷さんがつけると稲穂が咲いたような、フルーティな香りになる。吟醸酒こそ燗で、と三谷さんはいう。料理は白子の利尻昆布包み焼きからはじまった。岩塩の塊を長次郎のカナ下ろしですりかける。塩と白子のしっとり感がすばらしい。

    竹麦魚の刺身、葱の天ぷらなんかもいただいたが、もうここでほぼギブアップ。三かんだけ握ってもらうことにした。
    すなずり、そして、上写真の煮蛤。煮蛤は、下拵えしたものをその場でさっとだしで炊き、別煮のたれをすっとひいて江戸前海苔で巻く。握ったあとも、蛤の身はしゃりのうえでまだひらひらとおどっていた。

    この日のお目当は、下写真の「きもかわ」。ねたのかわはぎのうえにのっているのは、その肝醤油。小説家の山口瞳は「シンコを食べなければ、私の夏は終わらない」と書いたけど、ぼくの場合は「きもかわを食べないと、冬はおわらない」のだ。

    脂ののったかわはぎの、あまやかな芳醇。最後にぴりっとくる、磯の香りと、きものにがみ。冬の味覚を象徴するものが、ちいさな、ひとくちの寿司に秘められている。

    ああ、これで。ことしも冬とおわかれすることができた。

2016年2月9日火曜日

岡本啓さんの旅の葉書


   ちょっとまえに、詩人の岡本啓さんから、絵葉書がとどく。

    写真の色あざやかな民族衣装にみおぼえがあると思ったら、ラオスからだった。葉書には、「一週間ほど前から、おもいたって」東南アジアを単身、旅しているむねが黒いボールペンで書きとめてあった。
    ラオス北部の街、ルアンパバーンを目指したのだとか。
    ぼくもラオスにいったことがある。そのとき、この藍染の青、赤、黒の布がとても気になった。帰国後しばらくすると、新感覚派古民藝の店、古道具坂田でこのラオスの布を特集展示しているではないか。さっそく、購入して、ながらく風呂敷がわりに愛用していたのである。

    ちなみに、岡本さんは、いまお住まいの京都に無事帰られている。今月末に、ぼくも仕事で京都にゆくから、そのとき会うことになった。岡本さんは酒をたしなまれないので、河原町にある名老舗喫茶店フランソワでお会いしましょう、と返信の葉書に書いたのだった。

    いったい、どんな旅だったのだろう。土産話をきくのもたのしみだし、アジアの光景が、今後、岡本啓の詩にはたして登場するのかどうか、とても気になるところでもある。

2016年2月5日金曜日

英国詩誌の日本詩人アンソロジー


    昨年の11月に出演した国民文化祭・かごしま2015「現代詩の祭典 in 南九州市」の模様について書いたエッセイを入稿。

    すると、ぼくのイギリスの詩友、ジェームス・バイロン(James Byrone)からメールがとどく。イギリスの若手詩人のなかで頭角をあらわす彼が編集長をつとめるkeenな詩誌『WOLF』にて、ぼくの小特集をくみたいとの由。
    ちょっと考えて、ぼくのではなく、日本の中堅から若手までをあつめて日本人詩人のミニアンソロジーにするのはどうだろう、と提案してみた。
    全体で8篇と制約はあるが、すこしでもおおく日本の詩が海をわたれるほうがいいと思ったのだった。

    今週はジェームスと詩人の選定や英訳者さんの手配でも多忙だった。イントロダクションは、ぼくが書くことに。わが限定モレスキン・ダースベイダーをひらくと、頭痛がし、くらっときたが、こういうチャンスは逃してはいけない。おもしろい小特集にしたいです。

    ことし、来年と、イギリスの詩人たちとの仕事がつづきそう。ペンをおいて、窓のそとを見ると、白梅が満開、紅梅も咲きそろいはじめている。そういえば、昨日は立春だったっけ。朝、田園を歩いていたら、雲雀の高鳴きがもうきこえてきた。

    英国の春が思いだされ、泡のないぬるいエールが呑みたくなった。

2016年2月3日水曜日

古川日出男さんが読売文学賞!


   めでたい!

   小説家の古川日出男さんが『女たち三百人の裏切りの書』(新潮社)で第67回読売文学賞を受賞された。

    古川さん、詩人の管啓次郎さんとともに「見えない波」で、フランスとイギリスに同行された田島幸子さんのツィートを妻が見て、いそいでしらせてくれたのだ。

    フランスとイギリスで、古川さんと奥さまが二人三脚でどんなに努力し、がんばられていたか。間近で見てきたぼくらは受賞の知らせをきいて、こころからうれしく、快哉をさけんだのだった。

    古川日出男さん、ほんとうに、おめでとうございます!

2016年2月1日月曜日

冬の青山から




   ほんとうは休日のはずが、朝、外苑前の会社でうちあわせ。ミーティングがおわると、有志でちかくのKihachi青山本店でランチコースにする。

    サラダからはじまり、あわいピンクがきれいな紅芯大根のポタージュ。メインは、信州牛の炭火焼き味噌ソース。山高味噌のソースが豆板醤ふうの味つけになっており、野菜のローストにだけベシャメルソースがかかっていた。キハチの創作料理には、和洋はもちろん、中華や韓国、タイ、インドのテイストまで盛りこんであるのがおもしろい。パスタも魚と肉がわかれておらず、たいがいフュージョンされている。ワインは昼なので白と赤を一杯ずつ。デザートのロールケーキまで食べて、お腹はぱんぱん。秩父宮ラグビー場の銀杏並木は寒々しく、いまにも雪がふりそうだが、体はほかほかしている。

    腹ごなしに、青山墓地につづく、墓地通という不吉な?名の小径を散歩。

    午後は今月17日に『耳の笹舟』のチャリティー・リーディングをさせていただく浄土宗梅窓院を訪院。

    夜は、四谷のお寿司や「三谷」に予約をとってあるのだ。美味しい熱燗が呑めるなら、雪になっても、いい。