陶芸家 Mme. Isabelle Renault
イサベラさんの作品
帰国後の〆切祭りも一段落。ブログの更新を再開します。これからしばらくは、フランス、おもにブールジュで出会ったアーティストたちを、その暮らしぶりもふくめてご紹介します。
写真のマダムは陶芸家のイサベラさん。ラ・ボーヌには在住せず、ブールジュの旧市街で陶芸を営んでいる。かつては小学校の英語の先生でもあり、自分のステュディオで子どもむけのワークショップもおこなっているのだ。写真のトップは、今夏の子どもたちの課題。精巧につくられたサン=テチエンヌ大聖堂は三人の子どもたちの共作。
イサベラが焼くのは植木鉢や装飾屋根瓦など。でもたんなる日用品ではなく、中世の陶芸を研究して生まれた、まさに「用の美」の陶芸だ。その日は完成品が売り切れていたが、植木鉢も素朴さのなかに洗練されたものがあって、とてもいい。陶芸家というと、田舎に暮らして窯を築くイメージがあるけれど、中世ヨーロッパではパン屋と同じで街に工房があった。いわばイサベラのほうが、伝統的な職工かもしれない。「最初は食器もつくっていたわ。でもみんな茶器や食器を専門的につくるでしょう。わたしは街の人のオーダーメイドでいろんなものをつくるの。中世の陶工たちは食器から家具まで、ほんとうになんでもつくったわ。わたしはそんな歴史にも興味があるわね」と、イサベラ。
イサベラの家は築四百年ほど。ブールジュでもひときわ古い家だ。そして二十年前、イサベラがこの家を買い、修繕にとりかかったとき、おどろくべきものが見つかる。それがこの地下室。なんと地下三階まである。調査ではローマ時代まで遡るらしい。最初は土に埋もれていたのだけれど、イサベラが地元の歴史学者の協力で、何年もかけてバケツで掘り返してここまできたのだという。この珍しい地下室の話は、次回をお楽しみに。
0 件のコメント:
コメントを投稿