フランシス・ポンジュに忘れられないフレーズがあります。
「秋の終わりは冷めた紅茶のようにかなしい」
秋の終わりにいったパリ。
まさしく、ポンジュのパリがありました。
ほかの葉は枯れてしまいましたが、
プラタナスは黄金色。
日本と同じで、近年のフランスは秋がとても短い。
ノエル(クリスマス)のテントが張られると、
スイッチを押したように寒い寒い冬がはじまります。
季節を追う幻の小鳥、
プラタナスの紅葉が地に舞い降りて。
ぼくはパリに着くと、いつも行う習いがあります。
セーヌ川に身を投げた詩人、
パウル・ツェランを悼んで薔薇を一輪、水面に献花します。
もちろん、川岸の屋根裏部屋で昼間はペン軸を握り、
夜はグラスをあげつづけた「無名の手」にも、敬意を表して。
パリは画家たちの街でもあります。
カルチェラタンの画廊や古本屋はつい覗いてしまいます。
最近は、ファインアートのほかに
バンドシネ(漫画)の原画も人気です。
新進のものに目ざといパリジャン。
マンガはもう立派なアートコレクティブの対象です。
10年前はポップアートやグラフィックだったのですが。
ところで、秋のパリでぜひ試していただきたいのが、
冷たいスイーツ。
サン=ルイ島の老舗アイスクリーム店「Berthillon」。
http://www.berthillon.fr/
いまや世界的な人気店で、アメリカ人観光客が並んでいました
パリ、秋とくれば、栗。
マロングラッセをそのまま使ったアイスを頬ばると
濃いめのリキュールとマロン、クリームが
最初は甘く、つぎはビターになってかなり濃厚な味わい。
思わず「フランスのスイーツって深いなあ」と
つぶやいてしまったほど絶品でした。
パリジャンたちは灰色の寒空に
コートとマフラーで重装備しながら、
ショーウインドウやシルク(サーカス)を覗いてそぞろ歩き
カップルでアイスを食べるのが大人のデートらしいです。
冬を待ちうける気持ちと、去りゆく秋を悼む気持ちと。
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