2013年10月16日水曜日

After Crocodiles


詩人・浜江順子さん
10/14渋谷の老舗ライブハウス
「クロコダイル」にて
詩人・浜江順子さん主催の
2013 クロコダイル朗読会
『漂泊する声、ポエジーの港』が
開催され、ぼくも出演。

クロコダイル朗読会は
今年で19回目。
いまや盛んな
ポエトリー・リーディングの
草分け的な会で
ぼくも詩を書きはじめた頃に
観にいった。

今回はリーディングが主体。
前半は詩人・石川厚志さんと
ギターの清水悠さんの
デュオからスタート。
昨年の現代詩手帖賞受賞者の
森本孝徳さんや
渡辺めぐみさん
阿賀猥さん
吉田ゆき子さん

浜江順子さん
有働薫さんなどの
朗読や舞踏を楽しむ。

ぼくは
詩人・八潮れんさんの
トリオに注目。
オルファ・ベルーマさんの
フランス語訳との
クロスリーディング。
全体的に静かな雰囲気で
八潮さんの詩行の途中や
最後の語尾を
秒針の音や雨音のように
とつ、とつ、とつ
とスタッカートを入れつつ
規則的に
引き延ばしてゆく。
詩行の枝から
切り離された
日本語とフランス語の
声のかけらが
沈黙のなかを
こぼれ落ちてゆき
それが清水博志さんの
繊細なパーカッションと
虚空で絡み合いながら
再び下降していく。
言葉の土壌に
音素の枯れ葉が
音もなく降り積む。

後半は
ぼくと池井昌樹さん
佐川亜紀さんの
トークではじまり
つづいて石田と
エレクトリック・ギター
石井草実(そうま)くんの
デュオで朗読。
『まどろみの島』から
十篇を読ませていただいた。

佐川亜紀さんは
第四十六回
日本詩人クラブ賞を
受賞した『押し花』から朗読。
ご本人も
「社会派とよくいわれる」と
トークで
おっしゃっていたが
日本とアジアの声と現状を
文明批評にも似た
言葉で緊密に織り上げてゆく。
佐川さんの詩は
戦後派の「物」の
言葉を受け継いで
いるように思う。
社会を見つめ
詩人の感覚とともに
知性で構築されてゆく詩は
いまは、得がたい。
ぼくは
新鮮な気持ちで
佐川さんの声に
耳を澄ます。

池井昌樹さんは
『明星』を中心に
自作を、すべて
暗唱で朗読。
それは他者に向けて
声を発する
というより
ご自身の魂にも
語りかけているようで
ああ、だから
暗唱でもあるのかと
いまさら気づく。
池井さんの
詩を書く姿と筆音が
声のなかを
走っていった。

渋谷で打ち上げのあと
ぼくとギターの
石井さんは
浦和まで戻り
タイ料理屋
「ディージャイ」で乾杯。
金木犀の香りが
秋の夜気を充たしている。
そういえば
渋谷では金木犀の香りに
気づかなかった。

会にご来場のみなさま
出演者のみなさま
ありがとうございました。

あらためて
詩の鰐たちに乾杯。

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