1/31は妻と小川町のオリンパスギャラリー東京へ。写真家小野田桂子さんの個展を観にゆく。
2013年冬、詩人の城戸朱里さん、小野田さんとぼくは、テレコムスタッフによる舞踏家笠井叡さんの撮影で、岩手県の陸前高田に入っていた。日本現代詩歌文学館の学芸員豊泉さんの運転と案内で海岸道を走行中、コメントだけもらう予定だった笠井さんが、突然「私、ここで踊ります」と申し出た。津波による残骸が散らばる浜辺で、笠井さんは即興で踊る。気温はマイナス2度。突風が吹き荒れ、開閉のたびバンのドアが飛ばされそうな強い海風に向き合い、笠井さんは高速で舞った。
その渾身の舞踏を一部始終、小野田さんは撮影されていたのだ。その写真が2年の時を経て、震災から4年がたとうとするいま、展示の機会を得たのだった。ぼくらは17時に会場に到着し、写真を観た。あの即興舞踏は、10分ほどのパフォーマンスだったように思う。笠井さんが舞いはじめ、最後に海の水で禊をするまでの瞬間をとらえた、荒い粒子の写真が時系列にそって展示されていた。小野田さんの作品に喚起されて、ほんとうに、触れそうなほど、あのときの記憶が近づく。出会うことが奇跡のような目撃を、小野田桂子さんは現場の息吹のままに正面からとらえていた。写真とはつねにすでに、そのような存在領域だというように。
18時から、小野田さんと親交のある作家の柳美里さんがスピーチ。司会はわが先輩、和光大学の遠藤朋之さん。かの「ライカ同盟」の秋山祐徳太子氏が乾杯の音頭をとり、評論家の西部邁氏もスピーチをするという豪華なレセプションがはじまった。
写真展の詳細はこちら。ぜひお越しください。
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