ちょっと前のことになったけど、四月のはじめに、詩人の岡本啓さんから連絡があった。新宿の老舗ジャズ喫茶店DUGでお会いすることにし、待ち合わせる。仕事などで新宿に来ると、時間があるときは必ずDUGか、おなじく四谷の老舗ジャズ喫茶店いーぐるに立ち寄る。ジャズを聴きながら原稿を書いたり、本を読んだりするのだが、編集者さんとも会う。書斎がわりに使わせていただく喫茶店のひとつだ。
岡本さんとお会いしたのは、はじめて。トレードマークのキャップをかぶり、落ち着いた、やさしげな方だが、好奇心が旺盛なようだ。いまはワシントンDCから帰国され、京都にお住まいだとか。上京された折、わざわざ連絡してくださったのだ。
まずH氏賞授賞式のスピーチのためにお話を聞く。それから詩や文学の話もしたけれど、ロックやジャズの話でとにかく盛り上がった。伝説的なジャズピアニスト、アンドリュー・ヒルの話をするころには、ぼくはだんだんエンジンがかかってきてビールからハイボール、そして、おかわり、おかわり。岡本さんからロックバンド、マヘル・シャラル・ハシュ・バシユを教わり、iPhoneで聴いてみたりして遊ぶ。それで、すっかり岡本さんの写真を撮らせてもらうのを忘れてしまったが。
結局、二時間ぐらい話しこんでしまう。これから松本へゆくという岡本さんを新宿駅にお送りしながら、ジャズミュージシャンのポートレーターでもあるDUGのマスター中平穂積氏の写真をひととおり眺める。店内には、70年代に来日した、DUGのまえに立つセロニアス・モンク。ニューポート・ジャズフェスでのホーレス・シルバー・クォーテットをとらえたオリジナルプリントなどが飾られている。ブログ冒頭の写真は、マスターの作品。岡本さんは、晩年のマイルス本人が描いた油彩画のまえで、たたずまれていた。
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