しだれ桜
ニット帽の方が小説家の古川日出男さん
当日のお花見の面々
お祝いのプレゼント
詩と生業の〆切に追われ
デスクから顔をあげずにいたら
いつのまにか
庭の花々が春の嵐で散ってしまった。
*
3/30の日曜日
「H氏賞受賞のお祝いに」と
ぼくと妻で翻訳家の石田みゆは
小説家の古川日出男さんと
奥様の千枝さん
JLPPの田島幸子さんに誘われ
新宿御苑にお花見に。
さらに、「現代詩手帖」3月号の
北欧現代詩特集で活躍した若き翻訳家
マユ・サーリッツアさんも参加。
古川さん夫妻と知遇を得たのは妻が先。
昨年のサロン・ド・リーブル
(毎年フランスで開催される
国際的なブックフェア)で出会って
会期中同行させていただいたという。
ぼくは古川さん夫妻とほぼ初対面。
それにもかかわらず
お招きしてくださったのには
とても驚き、感激しました。
中華レストラン「古月」に集まり
出会いを祝して、まずは乾杯。
トレードマークのニット帽をかぶった
(当日はヨウジ・ヤマモトのY-3)
古川日出男さんと千枝さんは終始
にこやかかつフレンドリーに会話をリード。
ここには書けないけれど
翻訳文芸の世界で国際的に活躍する
田島さんから古川さん夫妻に
良きニュースがもたらされたようだ。
つづいて、妻のみゆが
フランスの週刊誌「テレラマ」に掲載された
古川日出男評を訳してプレゼント。
ぼくは古川さんの
『馬たちよ、それでも光は無垢で』に
持参した万年筆でサインをもらった。
田島さんからはお祝いに
ジャズシンガー、ホセ・ジェームスの新譜CDと
フランスで「憧れのスイーツ」と呼ばれる
ア・ラ・メール・ド・ファミーユの
イースターエッグのチョコレートを
マユさんからは白薔薇のブーケを
いただいた。
(田島さん、これを書きながら
CDをきいてます!)
ゆうに2時間は歓談し食事が終ると、
ぼくらは新宿御苑へ。
お花見のシーズンも終わりであり
気温もかなり低かったことから
花見客もそう多くはない。
ゆったりとした気分でそぞろ歩き。
ソメイヨシノは花吹雪と終ったけれど
しだれ桜やウコン、タイハクは満開。
池の水鏡に花びらが散り敷き
花筏になっている。
それを見たマユさん
「フィンランドの海は
海面が凍ってこんなふうになります」と
じつに詩的なコメント。
異国の自然環境のちがいは
感受性にも差異をもたらす。
日本人では考えてもみない
抒情が結露するのだと思う。
閉園の時間になったので
近くの喫茶店でさらにおしゃべり。
古川さん夫妻の印象はひと言でいうと
ひらかれている、ということ。
千枝さんは日出男さんの実質的な
マネージャーであり1stエディター。
どこにいくのもご一緒らしく
ご自宅でも新作についての話が多いとか。
家で妻は千絵さんを
「大和撫子で、山のようにどっしりしている」と
いつも褒めそやしている。
小説家のフィッツジェラルドは
「詩人に憧れない小説家はいない」と
書いたけれど
小説家に憧れず、敬意をいだかない
詩人はいないと思う。
ぼくも日出男さんには創作のことや
いまの文学について
どんな考えをいだかれているか
つい、いろいろ尋ねてしまう。
喫茶店では気がつくと
皆さん、おのおのリラックスして
小説の話、詩の話、翻訳の話が飛び交っていた。
各界でアクションをひきおこす方々が
こんなふうに楽しく自然に集まれるのは
とてもいいな、と思った。
「じゃあ、また五月ごろ会いましょうか」と
古川さん夫妻。
大好きな新緑の季節
若葉のほかに
また楽しみがひとつ増えました。
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