2013年4月18日木曜日

ルイ・マクニースを読む


二冊同時刊行の、ルイ・マクニース著
『秋の日記』と『ルイ・マクニース詩集』
(両書とも思潮社刊)

春に届いた、『秋の日記』。
北アイルランドの詩人、
ルイ・マクニースの翻訳詩集を
訳者の辻昌宏、道家英穂、
髙岸冬詩各氏からお送りいただく。

マクニースは、いわゆる
1930年代のオックスフォード詩壇
オーデン・グループのひとり。
オーデンとアイスランドを旅行し
詩と散文で共作した
『アイスランドからの手紙』で
ご存知の方もいると思います。

とはいえ
マルクスに傾倒する詩人でもなく
主知的にすぎる詩人でもない。
本人はオックスフォードの
古典教師であり翻訳家だった
こともあるそうですが
詩は古典的な知識を抑制し
あくまで「生」に根ざした
多面的で、自伝的な作風。
詩中にも
「哲学には違和感を覚える」
というフレーズがあり
アイルランド人の
土と俗に根づいた
気骨をただよわせています。

長篇詩『秋の日記』は
ほんとうに素晴らしい。
『ルイ・マクニース詩集』の
「訳者あとがき」で道家英穂さんが
「ルイ・マクニースは
複眼的思考の詩人だった」と
書かれています。
戦争とドグマの時代に
唯一の思考に陥らず
つぎつぎと押し寄せる
現実の多彩な波をインクに
ペンをにぎりつづけた…。
オックス/ブリッジ人の
ブッキッシュな
エリート主義(失礼!)
ではこうはいかない
繊細ながらも
人生と社会の
酸いも甘いも噛み分けた
しなやかで
太さのある詩集です。

翻訳も大変読みやすく
訳者各氏による
詳細で懇切丁寧な
註と解説がついています。

どなたか、ぼくに
きちんと書評を
書かせてくれないかなあ。

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