新宿で打ち合わせ。そのあと、猛暑ゆえ、かるくビアホールで呑んでいたら、いつのまにか小田急の快速急行に飛び乗り、気がつけば、鶴巻温泉にいる。
「弘法の里湯」で、天然温泉、ひとっ風呂。
駅前のロータリーで涼みつつ、缶ビール。山の風がここちよい。啐啄。ベンチでは、ホームから逃亡?したおじいさんたちが、ワンカップを片手に孫の話に花を咲かせている。
まだ、時間がある。どこかで腰を落ち着けて、涼みたいなと思う。
そうだ。藤沢で、鮨、つまもう。
開店と同時に、「青界」(せかい、と読む)さんにはいる。以前、フェリス女学院大学の講義のあとで、詩人の城戸朱理さんときたお店だ。
とにかくネタが瑞々しくて、新鮮。まったく飾らない人柄の、若くて元気な大将がやっていて、気持ちよく呑み食いできる。値段も高すぎない。つぎつぎとお客がはいってくる。気どりがなくて、素直なお鮨だ。
房総の黒あわびがあるというので、お造りにしてもらったあと、にぎってもらう。
こりこり身がしまっているだけではなく、しっとりと、適度にやわらかい歯応え。くさみはなく、海の、冷んやりした馨が鼻腔にぬける。海馬にとどくかの、つよい磯の滋味。
写真のごとく、これだけグロテスクな貝を初めて食べた人は勇気がある、と大将と盛りあがった。少々、身を切りとられても、元気に水槽にへばりついている。
その生命力が由縁なのか。鮑は古来、伊勢神宮の神饌だけれど、やはり最初に食べてみたのは、かみさまだろうか。
たまにはゆったり温泉につかり、見知らぬ街で鮨をつまむ。そして、とりとめなく考える時間も、愉しい。
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