「現代詩手帖」8月号座談会での発言にもあった、拙詩集『耳の笹舟』の一篇、「雪わりのバラライカ」。
もともとこの詩は、一昨年、下北沢の書店「B&B」で開催された詩人管啓次郎さんの散文集『ストレンジオグラフィ』(左右社)刊行記念イベントのために書き下ろされた詩篇だった。
先日、ときおりうかがう浦和の名オーセンティック・バー、「リンハウス」さんのカウンターに座ると、マスターの鈴木さんが拙詩集をもってこられた。ふだん自分から詩人だと名乗ったりはしないので、マスターの不意打ちにはおどろいた。
そして、マスターが上写真のオリジナル・カクテル「雪わりのバラライカ」をつくってくださった。
バラライカ。バーにゆくと、かならず一杯は呑んでしまう。名カクテル、サイドカーのレシピをウォッカに変え、ロシアをイメージしたカクテルだが、その由来についてはつまびらかにしない。雪のふらないアメリカ南部生まれの小説家、トルーマン・カポーティがドライマティーニとともに好んだカクテルとして、記憶しているだけだ。
マスターいわく、このオリジナルカクテルは、レモンピールではなくグレープピールで馨をつけてある。
ひとくち呑むと、さわやかでふわりとしたグレープの馨のしたに、きりりと冷えた柑橘の味と霙のような舌ざわりを感じる。なるほど、馨という粉雪のしたに、冴え冴えと、バラライカ本来の五感の雪層が存在するかのよう。
とはいえ、このオリジナル・バラライカ。とても好みではあるけれど、自分からはなかなか注文しづらい 笑
しらふのときは畏れおおいので、たっぷり、アルコールの助走をしてから、小声でオーダーしています。
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