ブログを書いているいままさに、すごい暴風雨!秋のタイフーンが咆哮している。
台風九号が接近しつつあった、土曜日。なぜか、妻と埼玉県行田市にある「さきたま古墳群」にきていた。
直木賞候補作家・和田竜氏の『のぼうの城』のモデルとなった忍城でも知られる行田だが、妻のお目当は「前玉(さきたま)神社」。なんと、古墳のうえに本殿と拝殿がある。『延喜式』にもその名が見られる古社だ。
ちなみに、さきたま、は埼玉の語源になった地名。埼玉県名発祥の地だ。
写真は、古墳群でも最大の「二子山古墳」。ひろびろとした青い稲穂のなかに古墳はあった。雨もよいだったから、ひと気もない。古墳の表は草におおわれており、風に吹かれて竪琴を鳴らす姿は、さみしさとともに太古の時間をしばし蘇らせる。こんなふうに、宅地化されず、水田のなかに古墳群が保存されているのが、とてもいい。
水田のひろがる行田は、さいたまでも有数の名水が湧く。そして行田湯本の名のとうり、天然温泉も、湧いている。
「茂美の湯」で汗を流す。透明でくさみのない、やわらかな清水の湯。
湯あがりビールのあとは、もちろん、県北のうどん。埼玉県北は圧倒的に蕎麦よりうどんなのだ。茂美の湯ちかく、きのこ汁うどんが評判の「田舎っぺ」にゆくも、午後三時で閉店とのこと。無念。
すこし足をのばして、北鴻巣駅ちかくの手打ちうどん屋「わらく」へ。
亡くなった、母方の祖父に連れてきてもらった記憶がある。おもしろいのは、鴻巣、行田、東松山エリアでは、うどんのあてによく豚のもつ煮を食べるのだ。
B級グルメで有名になった、東松山の辛子味噌をつけて食べる焼きトン。あれは、昔から高麗周辺に住む朝鮮の人たちの食文化らしいのだが、埼玉県北には朝鮮に影響を受けた郷土料理がおおい。
というわけで、うどんのまえに、ビールを呑みなおす。
もろきゅう、百八十円也。スーパーで買うきゅうりの二倍はおおきく、ふとい。十倍は瑞々しい。自家製の白菜漬けも、いい塩梅。
そして、もつ煮。一杯二百八十円也。ぼくは、祖父がうどんともつ煮を食べていたことに、懐疑的だった。しかし!くさみもすくなく、あまやかでほどよく脂ののったもつ煮は、手打ちうどんによくあう。山形の銘酒、初孫を冷やで。
県北の手打ちうどんは、つるつるで、噛み応えのあるつよいこしがあり、小麦粉がよく馨る。ぼくの母方の郷里、埼玉県北の吉見町では、うどんを「ぶつ」ことが花嫁修行だったそうな。たしかに、朝からうどんを食べるし、夕食のあとも、うどんは別腹だからと夜食に食べるほど。
もつ煮がおいしかったから、〆にわらく名物、もつ煮汁うどんをたのむ。あったかい汁とつめたいうどん。うどん汁には、もつ煮一杯分くらいのもつがはいっている。ほどよくこってりしていて、うどんつゆ、葱との相性が、いい。くせになる味。
歴史ロマン、自然散策、温泉、うまいうどん、ともつ煮。ディープなさきたまの休日。また、やろう。
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