2016年8月17日水曜日

秋の扉が


 台風一過の朝。

 すこしだけ陽の光が秋らしくなって、すずしげな風も吹き、田畑のそちこちに秋の虫の声がかすかに鳴りわたる。

 見沼の「桜回廊」の道には、タイフーンがうっすら色づいた落葉を散らせて、西脇さんのいう「秋の象徴」をかたどっていた。

 お盆といえど、休みはなく、今朝も注文していただいた詩の原稿、雑文、そして大学のレポートの採点などに追われた。〆切をすぎているものもあり、ブログを書いている場合ですか、とつっこまれそうですが、どうかしばしお待ちを。

 執筆につかれると、レポートを読む。

 大学院生が書いた、原稿用紙十枚分のレポートを拝読して頭脳と精神を引き締め、各レポートに原稿用紙一枚の評を書く。フェリス女学院大学生の書いたレポートを読んで、こころを洗われる。
 学生さんのレポートは、それぞれよく書けていて、ほんとうに甲乙つけがたく、困った。一篇の詩と出会う、こころの強さ、きよらかさ、ときに若い烈しさが、どの鑑賞からもつたわってくる。

 自分自身の詩を、思わず見つめなおそうというものだ。

 大学はもちろん、秋からは、フランス行きや「LUNCH POEMS@DOKKYO」、「見えない波」第二波 など、さまざまなプロジェクトがひかえている。あゝ。

 ペンとも無為ともつかぬものを終日にぎっていたら、今日も、もう夕方。書斎の外の気温は三十二度。ほんらいは秋の鳥、ヒヨドリが窓辺の辛夷の枝にとまっているが、猛暑ゆえ、嘴をひらきっぱなしにしている。

 あらたな季節の扉が、もうすぐ、ひらく。さっさと家に帰って、秋の到来を祝福しつつ、つめたいハイボールでも呑んじまおう。

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