車窓からの葡萄畑
シャトー・グラヴァ
樹齢五十年以上の葡萄畑は機械ではなく、人間と馬で鋤く
ボルドーにきたら、やはりボルドー・ワインの産地にいってみたい。観光局のおすすめに従い、ソールテヌ地方のバルサック Barsac村にあるシャトー・グラヴァChateau Gravasを皮切りにワイン・シャトー巡りをした。お目当てはテイスティング。
秋の葡萄畑の、黄色から赤、そして黄金のグラデーションが車窓にひろがる。グラヴァ・ワインというと、ギリシアのトカイとともに貴腐ワインの産地として世界的に有名だ。ボルドーのフォアグラとの相性の良さはワインの教科書的セオリーといえる。
シャトーの案内役、エレナ女史の説明を聞きながら、樽蔵へ。樽はヨーロッパの楢。アメリカや海外産の楢は木の香りがきついのだとか。
蔵には、オーナーの意向で写真のようにアートが展示してある。グラヴァの葡萄はすべて手摘み。通常は専用のトラクターで収穫するのだが。それでも、今年は不作だったらしい。近年、ボルドーは地球温暖化のせいもあってワイン・グレープの収穫が半減するシャトーもでてきている。グラヴァも悩まされていて、2015年用のボトルはついに写真のような角瓶になってしまった。説明を聞いていたイギリス人女性は「シャネルの香水壜みたいで、なんだかいやね」とこぼしていたけれど。テイスティングもふだんの半分の量。
とはいえ、最初に2011年、つぎに18ヶ月樽で熟成させたすばらしいワインを味わうことができた。最初は蜂蜜のような濃厚な甘み、ジャスミンのふんわりした香りがつづいて、最後は上品な白桃味が舌のうえに残る。フランスの秋の光を呑んでいるような。
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