フランスでややこしいのは、カフェ、ビストロ、ブラッスリー、レストランのちがい。このどれでも酒をだすし、食事もできる。ブラッスリーとレストランのちがいをベルナールさんに尋ねたところ、「ブラッスリーは食事も気軽で音楽がかかり、お客がわいわい騒げて呑み食いできるところ。レストランはドレスコードがあって静かに食べる。レストランはもともとキリスト教の安息日に家族で静かに食事ができる場所だったんだ」という、じつに明快な答え。
ぼくが朝、詩を書くのはコーヒーショップ。これは日本でいう喫茶店で、コーヒーとクッキーぐらいしかない。ぼくのブールジュでのお気に入りは、ニコルさんに教えてもらった、「Les Trois Cuillieres」(三本のスプーン)。1€(1ユーロ)でエスプレッソ(フランスの通常のコーヒー)が飲めるのがうれしい。音楽はいつもノラ・ジョーンズやダイアナ・クラーク、ジャック・ジョンソンといった、アメリカのロックやジャズがかかっている。フランスではめずらしく紙コップで飲み物をだしたりする、おしゃれなアメリカふうコーヒーショップだ。
ここにきて、原稿用紙ではなく、ノートに詩を書きはじめた。写真の赤いノートで、カルフールというスーパーで買える一冊1.5€のノート。カイエと呼ばれる学習帳だ。五線譜のような方眼罫のノートで、小中高校生はこれに必ず万年筆で書くことが、フランスの学校の伝統になっている。
ぼくはノートの背を机に平行にして開き、縦書きで書いている。そうすると、ノートの一行がちょうど十六文字の正方形の方眼で区切られることになり、詩のリズムにとってじつにいい。ぼくはこれにカランダッシュの銀軸のボールペンで書く。
執筆のお供は、フランスの大衆煙草「ゴロワーズ」。もう二十年ぐらいずっと吸っている煙草で、葉巻のようなくせのある薫りが好きなんです。ただし、これ、日本から持参したゴロワーズ。EUでは煙草の値段がびっくりするほど高い。だいたい7.5€ぐらいだから、1,000円ぐらいかな。いま、フランスでは電子煙草が流行っている。税にひっかからないので安いからだ。
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