2015年9月2日水曜日

お茶漬けの味





   フランスからのお客さん、EtienneさんとLucilleさんが、もうすぐ帰国。なので、夜に妻とも落ち合い、呑むことにした。

    エティエンヌとルシルは、朝5時起きで築地市場にゆき、寿司を食べたそうな。じゃあ、ふたりの好きな小津安二郎映画でもよく登場するとんかつはどうかということになり、「すずや」にしよう、となる。残念ながら新宿本店は改装中。かれらのホテルにも近い秋葉原店にゆく。

    写真は名物「とんかつ茶漬け」。小津はもとより、柳宗悦、棟方志功など日本民藝派が通って食べたメニュー。まず、フランス人にとってはお茶漬けが初体験。カルチャーショックを受けていた。そのまえに、いろいろ食べたのだけど、良質の豚肉とフリットに似た揚げ物は、食べやすかったみたいだ。おいしいかったです。

    まだすこし時間に余裕があったので、日本のウィスキーが呑みたいというエティエンヌさんのために、神保町の「グランドライン」へ。なんと、昭和42年に東洋醸造からごく短期間発売された、幻のウィスキーと名高い、日本バーテンダー協会(J.B.A)ブランドのウィスキーが鎮座していた。
    さっそく、もらう。北海道の倉庫に眠っていたボトルだそう。48年の歳月をこえて、なぜかフランスの日本ウィスキー愛好家と呑んでいるのだ。色は濃い蜂蜜色。たぶん、オーク樽フイニッシュ。日本ウィスキーに特徴的だが、口当たりはかなりライトだ。かすかなバター臭。舌のうえでかろやかに揮発してゆくような。それでいて、まろやかな余韻。

    ぼくはさらにバラライカ、オリジナル・ダイキリ。ルシルさんは自家製レーズンバターがいたく気にいる。レーズンバターは意外にも、それこそ日本のバーテンダーが開発した、日本の味なのだ。

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