先日、「ヒアシンスハウス」まで足をのばした、 旧浦和市(現さいたま市)の別所沼公園。そこに、もうひとつ、お気に入りの場所がある。
それが、写真の落羽松の森。ぼくの第二詩集『まどろみの島』にも登場した樹木で、北米原産らしい。松とあるが、この木はヒノキの仲間。
愛読している米倉久邦さんの『日本の森の歴史』(山と渓谷社)によると、かつてはいったん木材として移植されたのだけれど、育成がなかなかむずかしく、アカマツやクロマツにとってかわられ、いつのまにか忘れられた樹木になった、という。
イギリスのスコットランド、エディンバラ近郊には、神さびた、じつに壮観な落羽松の森があるのだが。ぼくは落羽松の森が大好きで、イギリスに滞在していたときは、よく森林浴をしにいった。
その名のとおり、落羽松の葉は、小鳥の羽のようなかたちをしている。秋になると、葉はつややかな褐色に紅葉し、森いちめんに不在の小鳥たちの羽をふらせるのだ。
写真の木立ちは、ちいさな森だが、別所沼の浮島のようにある弁天島に、ひっそりとある。ちいさいとはいえ、落羽松の森は近隣にはないので、ここを見つけたときは、とてもうれしかった。
ちょっと大仰かもしれないけど、ぼくにとっては、かのアーサー王伝説にある、アヴァロン島。忘却のなかで、なつかしいイギリスの秋を感じさせてくれる、ちいさな聖域なのだ。
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