2015年12月6日日曜日

古唐津陶片


   めずらしく、絵唐津の陶片を手にいれた。「B&B」イベントの翌朝。青山を歩いていたら骨董市がたっていて、ギャラがこれに化けたのである。

    南唐津の焼山窯出土で、室町後期から江戸初期にかけてのものらしい。絵付け職人が筆でさっさっと素早くえがいた気どらない独特な草絵紋を、青山二郎は「ポンチ絵のような」とけいようしていたっけ。秋の白んだ光に、なかば透けるようなはかなさでそよいでいる名もない草、そんな風情にひかれたのだった。

   それでもサイズは小皿をはみだすおおきさで、菓子皿くらいにはなる。たぶん、大江皿の基底部で、裏底にかなめがついたままだ。焼成のときにくっついたか、ゆがんだかして、皿本体は失敗作として割られたのだろう。

   炙った紋甲烏賊、西京焼きの半みくらいはのるかもしれない。陶片側面に「焼山下」と細ペンで書き込みがある。調査資料がまとめて放出されたのではないか。

    絵唐津陶片の魅力は、まさに破片であり、部分であるということ。陶片とはいえ絵はちょっとした小品のようだし、古唐津の釉調も見ていて楽しい。でも、ああ、こんな草絵のある桃山あたりの三合くらいはいる片口があったらな、とか、たたらの陶板があったら最高だなとか、高価でけして手にはいらない全体性、完品への妄想をためつすがめつふくらませるのである。

    古玩というけど、 酒を呑み、陶片をめであそぶ姿は、われながら病んでいるとしかいいようがない。

1 件のコメント:

  1. こんにちは!早稲田理工学部で先生の授業受けてます髙橋です!土曜日、梶谷と先生の講演行きます!その後お時間ありましたらご飯食べに行きたいです!

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