2016年6月28日火曜日

浅草橋の一夜



左から、写真家の武田陽介さん、空蓮房主催の谷口昌良さん、装幀家の奥定泰之さん。


    これから、京都へ。

    先週、浅草橋駅ちかくの蕎麦屋さんで、アートスペース「空蓮房」を主催される谷口昌良さん、『耳の笹舟』でお世話になった装幀家の奥定泰之さん、そして新鋭写真家、武田陽介さんと呑む。

    ぼくと武田さんの顔合わせが目的で、谷口さんと奥定さんが会食をセッティングしてくださったのだ。

    写真と詩の言葉からはじまり、おたがいの興味関心や業界?話まで、愉快に時間がすぎてゆく。写真と詩のコラボは、いまや特異ではないけれど、身近なようで、やはり他者の世界なのだなと思う。

    武田さんから、奥定さんが装幀した作品集『STAY GOLD』をいただく。
    以前、この一連の作品をベースに、武田さんは空蓮房で個展をされた。作品の隣に、ロバート・ブラウニングの詩が掲出されていて、数年たったいまでも印象にのこる展示だった。武田さんはドイツ詩人、パウル・ツェランも好きだという。
    武田さんの作品には、日々のメディア革新により、かつてのように写真がそれ自体で同一性を確保できないことの困難もあらわれている。
    築地の魚と蕎麦でうまい酒を呑みつつ、写真と詩の境界を考えた一席でもあった。
     
    蕎麦屋さんは柳橋にあったのだけれど、神田川が隅田川にそそぐこの界隈は、時代小説にもたびたび登場する。ぼくも平岩弓枝や藤井邦夫の弥平次捕物噺シリーズで、親しみを感じていた。
    谷口さんによれば、町の衆が色っぽい舟遊びをしたり、吉原にくりだす、あるいは柳橋の茶屋で遊ぶまえに寄る料理屋がおおかったそうな。谷口さんの幼少のころも、その名残はあったという。

    京都にむかう新幹線のなかで、浅草の楽しく風流な一夜を思いだしていた。

    谷口さん、奥定さん、武田さん、ありがとうございました。こんどは、どぜうで呑みませう!

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