2014年11月24日月曜日

ブールジュのアーティストたち(4)


画家 Xavier Bolotさん




 イグザビエ・ボロット氏はブールジュ在住の画家。執筆滞在の折りには公私にわたってお世話になった。
 パリのソルボンヌ大をはじめ、エコール・デ・ボザールの会員でもあり、脳科学・神経生理学の分野から視覚の研究もされている。彼の絵画のテーマはいわば「見え」をめぐるもの。人間と絵画にとっていわば世界がどう見えているのかを、脳科学とヨーロッパ絵画史から詳細に論じた斬新な研究書も刊行している。
 純粋に画家としても人気があるのだが、彼からはヨーロッパ絵画におけるデッサンの制度、テンペラ画法など、さまざまな話を聞き、教わった。とくに面白かったのが、建築と絵画の視覚の関係性。イグザビエによると、ブールジュのサン=テチエンヌ大聖堂の支柱は花が咲くように上方に開いている。いかに垂直に見えようとも、これは堂内における人間の視覚を荘厳へ導くのと同時に、巨大な大聖堂の重量を支えるための必然的な施工だ。設計・建築技師には敬虔な修道僧も多かった。ルネサンス以降、ポピュラーになった人体のデッサンは、歪曲にもとづく伝統的な中世建築学に影響されているのだという。
 このあたりのことは、ぼくがあずかっている彼の英訳原稿にくわしい。もしご興味がある方は、ご連絡ください。イグザビエの中世建築学の話を聞いていると、ダン・ブラウンのミステリの世界にまよいこんだかんじがした。
 イグザビエは「見えない波」公式ホームページのために、原稿を寄せてくれた。英訳もついています。近日、アップしますので、お待ちください。

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