2013年1月29日火曜日

骨董 冬の酒器




庭の紅梅の莟がもうふくらんできました。
春になってしまう前に、
冬の酒器をアップしておきます。

徳利は古備前、ジャスト1合。
盃は松浦古唐津、江戸時代初期。

双方とも、詩人の城戸朱理さんから
結婚祝にいただいたもの。
ちょっとかわいく撮れたもので。

以前、勝見充男さんが
「20個の盃を買えたとしたら、
徳利はその20分の1の確率だね」と。
そんな古備前徳利は、
あまりにもつかいすぎたため、
肌にとろみがかかると同時に
ちょっぴり黒ずんでしまった。

古唐津盃は一息に轆轤をひいて
高台脇にかんでいる珪石は、
海底にあった黒雲母。
ぼくはもっていないけれど、
古唐津盃のなかには
酒を注ぐと海底を覗いたような
窯変をみせるものもあります。

ぼくは窓辺の冬陽のなかに
この徳利と盃を早朝から日没まで置いて
たっぷり陽光の薫りを吸わせます。

それから、ぬるめの御燗を注ぎ
妻の絶品卵焼きで一杯。

2013年1月27日日曜日

出版祝いと、たつみやの鰻と、ちいさな告知と


神楽坂の鰻屋たつみやで、思潮社の高木編集長と
装丁を担当してくださった奥定泰之さんが
『まどろみの島』出版祝いをしてくださいました。

高木編集長三児生誕のお祝いも兼ねて!

どぜうの柳川×2、鰻の白焼き、蒲焼き、うな重。

全国のたつみやファンの皆さん、
鰻の価格高騰で大変ではありますが、
すこし安くなってましたよ!
神楽坂の老舗を応援しましょう!

その後は、本格イングリッシュパブ、
ロイヤル・スコッツマンで
樽だしクライヌリッシュでフィニッシュ。

酔っぱらった奥定氏「早大の講義にゲストで来てください!」
高木編集長&石田「行きませう!」

というわけで、来る1/31、早稲田大学に、
お邪魔いたします。





2013年1月24日木曜日

さようなら、和多利志津子さん


細野晴臣さん、高田蓮さん


吉増剛造さん


城戸朱理さん、遠藤朋之さん


石田瑞穂 写真はすべてマッド・バンビさん撮影。


1月21日の夜、ワタリウム美術館で
故・和多利志津子館長の「お別れ会」イベントに
出演させていただきました。

音楽家、詩人、落語家、美術家、エッセイスト、パフォーマーなど
各界の第一線で活躍しながら、
志津子さんと深いご縁のあった方々が
志津子さんを偲び、
パフォーマンス、朗読、トークなどをしました。

しめやかなお別れにしたくないという
志津子さんらしい想いを継いで、
和多利恵津子さん、浩一さんをはじめ
ワタリウム美術館の皆さんが、
こころを込めて開催した今回のイベント。
会場は志津子さんに献花を、と
集まったお客様で満員大盛況でした。

細野晴臣さん、高田蓮さんの演奏ではじまった、この夜。
お別れの会なのに、柳家花緑さんの寄席があったり、
松岡正剛さんや森本千絵さんのトーク、
ドラッククイーンのマダム・ボンジュールジャンジさん
アキラさんのパフォーマンスなどがあったり。
笑ったり、聴き入ったり、
生前の志津子さんの幅広い交流を偲ばせる、
ワタリウムならではの会でした。

詩人たちの朗読/パフォーマンスは、
美術批評家でもある建畠晢さんが
日本で初めてドナルド・ジャッドを招聘した
志津子さんのエピソードを紹介しつつ、朗読。
城戸朱理さんは「白鳥伝説」を読んだあと、
アメリカ文学者にして、ぼくの先輩、
遠藤朋之さんとエズラ・パウンドの長編詩
『詩経 キャントーズ』からクロスリーディング。
ぼくは『まどろみの島』からレクイエムを朗読。
吉増剛造さんは利根川を舞台に、
ジョン・ケージと志津子さんの
面影をかさねるビデオ詩を上映しました。

ぼくが志津子館長とお会いできたのは、
もう10年ほど前。
初めてお会いした志津子さんは
どこの者とも知れない若者に、
ジョン・ケージやアレン・ギンズバーグなどの
ワタリウム美術館での初来日個展・公演の様子を含め、
とても貴重なお話しを1時間ほど話してくださいました。
日本の詩の状況にもご興味があり、
お会いした折りは、ペンとノートをもって、
ぼくの拙い話を忍耐づよく聴いてくださいました。
ワタリウムでの個展やイベントはもちろん、
あまりにさまざまな場所でお会いするので、
その滾々と湧きでる好奇心と勉強熱心さ、
フットワークの軽さに舌を巻きっぱなしでした。

吉増さんのおっしゃっるとおり、
たいへんな目利きでもあった志津子さんは
ジョン・ケージのように
叡智とやさしさを兼ねそなえた方でした。

ぼくらに現代の「美」の「楽しさ」を
たくさん、たくさん贈ってくださった、志津子さん。
We miss you, so much.






2013年1月18日金曜日

机辺の光景 駒井哲郎のエッチング







昨年、駒井哲郎のエッチングを購入。
駒井哲郎というと、超現実的なコンポジションが多いですが、
これは珍しく写実的だったので。
安東次男『花ごよみ』の挿画につかわれた連作でしょうか。
この頃の駒井と安東の共同作業はほんとうに美しい。
名もない草花がモティーフの連作で、
写実的とはいえ、そこは駒井哲郎。
どこからか夢の風が
草樹と光線をゆらしています。

ぼくのデスクの周りには、
なぜかエッチングばかりあります。
執筆中は油絵よりも、
エッチングの線のほうが、文字の線と
静かに響きあってくれるからでしょうか。

明日から23日まで、また出張。
ブログの更新はお休みします。
旅のポケットに忍ばすことのできる
線の場所、小品があるといいのになあ。


2013年1月16日水曜日

城戸朱理、バンビ、浦和に現る!






ついにこの日がきました。
城戸朱理さんと彼女さんのバンビが
in URAWA!

うらわ美術館でいま開催中の「日本 オブジェ」展に
おふたりで来られたのでした。

城戸さん「ヴィジュアルポエムが普通に
美術館で展示されるなんて。時代が変わったよねえ」

バンビさん「千円札事件、おもしろい!
(高橋昭八郎さんのポエムアニメーションを観て)
家に飾るのも一苦労だよね」

展示を観たあとは、浦和の超人気な焼きモツ屋「丸眞」へ。
名物レバテキやモツ串焼きなどを頼むも、
けっこうなボリューム!一本が110円〜180円。
埼玉県北部では、焼き豚に「唐辛子味噌」をつけて食べます。
レバテキは塊のまま備長炭の遠火でじっくり20分ほど焼いたもの。
都内の値段感だと、だいたい2/3ぐらいの安さです。
白子ポン酢もとても美味。

二件目はクラフトビアを中心にだす新店、
「クラフト ビア ベイビー!」へ。
ローストビーフも安くてかなりのポーション。
今回は肉祭りでした。

城戸朱理さんは「本についての詩」を構想中との由。
浦和の古本屋で近代書物史・哲学を中心に
「本を書いた本」を数冊購入。

写真はぜんぶバンビさんです。謝謝。

a thousand of bird's sambaで、
飲屋街のハレーションに消えゆく3人。

ぼく(トップ写真の丸眼鏡)のかぶっている
ヘンな帽子はフランスで買ったバスク帽です。


2013年1月9日水曜日

『吉原幸子全詩』論考が掲載されます





正月休み(仕事でしたけれども)明けに、
「現代詩手帖」2013年2月号掲載予定の吉原幸子論を脱稿。
5枚という短さですが、吉原幸子晩年の詩についてふれましたので、
よろしければ、ぜひお読みください。

年末にドン!と届いた全詩集3巻は、総1300ページのボリューム。
30代半ばでデビューして62歳で生涯を閉じた早逝ともいっていい詩人。
詩の仕事としてはかなりの量で、その人気がうかがえます。
各詩集の巻末「NOTE」や「自作の背景」、
國峰照子さんの詳細な「年譜」もついており、
傷の詩人吉原幸子の詩業を見渡すには格好の全詩集になっています。

ぼくはずっと吉原幸子の詩のファンでした。
新宿では吉原さんが仮寓した界隈に、
ぼくも一時期住んでいました。
ゴールデン街やBAR「どん底」に、ぶらっと歩いて行ける距離。
そこらで呑んだときは、亡くなっているとわかっていても、
スツールの紫煙の向こうに吉原さんの面影をついさがしてしまう。
ぼくにとってそんな詩人です。

今回は第1稿をボールペンの手書きで。
昼間からスコッチをグラスに注いで、
銀軸のカランダッシュをはしらせました。

午後から書いて夕方には執筆完了。
全詩「Ⅲ」には朗読CDがついていたので、
吉原幸子の声に耳をかたむけながら呑みました。

「今夜は労働者のように
生のままでウィスキーをあおりたい」

これはもう詩でありブルース。
タバコと酒でほどよくつぶれた、
スモーキーな朗読に聴き入りながら、
田村隆一に匹敵する偉大な詩人に哀悼をささげました。











2013年1月2日水曜日

謹賀新年







明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

庭の紅白の椿が咲きそろいました。
写真の椿は白玉。

さいたまに移ってはじめてのお正月、
はじめてのおせち料理です。

母と妻が2日がかりでつくってくれました。
写真はその一部。

うちのおせちは、
関東ではわりとスタンダードだと思います。

松前漬け、きんぴら、れんこん、やつがしらは
近隣の農家さんがもってきてくれた
とれたての地野菜。
おせちには季節の野菜をメインにつかいます。

ちょっと変わっているのは魚。
うちのおせちで「お頭つき」といえば、
鮒の甘露煮になります。
昔は今みたいに流通がよくないので、
海魚は食べられなかったのです。

鮒の甘露煮は毎年、茨城県古賀市の
木村屋甘露煮店から取り寄せます。
においもなく、やわらかく自然な歯ごたえ、
甘さひかえめでお酒によくあいます。

お雑煮もスタンダードですね。
ねぎとやつがしらを入れて、
今年は甘く炊いたにしんが入ってます。
うつわは土楽窯の向こう付け。

母の煮豆はルクルーゼのココットでつくったもの。
豆のよさもあるでしょうが、
ルビーのようにツヤツヤで、芯ものこらず、
皮がまったく皺よりませんでした。上出来。

みなさん、よいお正月を!