2013年2月27日水曜日

冬の酒器 桂又三郎蔵 朝鮮唐津ぐい呑 


桂又三郎旧蔵 古唐津 朝鮮唐津ぐい呑





右から:朝鮮唐津ぐい呑、江戸期古備前 立盃、
古唐津盃、川北良造作 漆盆
春になってしまう前に、ぎりぎり、
ふだんづかいの冬の酒器をアップ。

朝鮮唐津盃は、城戸朱理さんからの頂き物。
桂又三郎旧蔵で、箱書には、

江戸時代之作
高さ 五.一 cm
口径 六.九 cm
底径 三.九 cm

と、あります。

桜の頃まで、上の三つの盃で
毎日交互に吞むのです。

ちょっと、お知らせ


フランスのテディーベア


現代の詩、俳句、短歌の三詩型交通サイト
『詩客』2月22日号に、
新作詩「雪風」を掲載していただきました。

http://shiika.sakura.ne.jp/works/jiyu/2013-02-22-13451.html

ぜひ読んでみてください。


昨年秋に、ぼくも撮影していただいた
文学とアートのTV番組「Edge」
いよいよ放送日が決定しました!

3月16日(土)
21時30分から22時30分
LIVE!Edge オールナイトポエトリーリーディング 第1部−詩人と震災−

3月23日(土)
21時30分から22時30分
LIVE!Edge オールナイトポエトリーリーディング 第2部−3.11後の言葉とは−

放送局:スカイパーフェクトTV 
     Ch.216 ベターライフチャンネル

ぜひご覧ください。


TBS RADIOに出演が決まりました。
詳細は追って、ブログに書きます。

なんだか雪になりそうな気配。
風邪などひかぬよう、お体に気をつけて。

2013年2月23日土曜日

After 北上


鯉の洗い削ぎ切り


深谷産鴨葱の串焼き

北上からの帰りの新幹線で、
マッド・バンビさんとビール、ウィスキー、
岩手の牛タンおつまみで乾杯。
吉増さん×笠井さん×林さん
「歌と舞のあたらしいページ」、
会場で出会ったみなさんと
日本現代詩歌文学館のみなさんのことを
振り返りながらノンストップでおしゃべり。
ポエトリー・イベントやリトルマガジン計画について
気焔をあげていたら、あっという間に大宮についてしまった。
鎌倉での「実験工房展」での再会を誓う。

下車すれば当然、大宮で一杯ひっかけることに。
岩手では旨い魚攻めだったから、
大宮市場経由の新鮮なモツ焼きが食べたくなって、
駅前南銀座通り「炭火 勘九郎」へ。

日曜夜の南銀は、歌舞伎町なみに高電圧。
メニューを見ていたら、肉より、
さいたまのソウルフードに目がいって、
酒肴は鯉の洗いと鴨葱を注文。
鯉の洗いはさらっとして、臭みもない。
酢みそがちょっと甘めの味付けだから、
店主のご実家は大宮より北だろうか?
「ふるさとの味」がする料理、いいですね。
鴨葱も、葱がぶっとく、肉もやわらかでジューシー。

キャバ嬢さんと常連さんのあいだに座らせてもらって、
プレミアムモルツ、生マッコリ、ぬる燗。
ぜんぶで2800円ぐらいだったかなあ。
隣のおじさんいわく「味は南銀一」。
「酒も含めて2000円以内で」「3000円で」
といったかんじで注文している客もいる。
吉田類好みの居酒屋かもしれない。

北上とはちがうけど、
なんだか和むのは
ここが生まれ故郷だからでしょうかね。
(2/23注記:上記、もっと早くアップするはずでした。
仕事に追われたのと風邪で、アップが遅れて残念)

2013年2月20日水曜日

笠井叡 陸前高田で舞う


笠井叡さんの舞踏 撮影風景


奇跡の一本松





2013年2月17日。現代詩歌文学館から
笠井叡さんとテレコムスタッフの「Edge」撮影クルーに同行。
車で北上市から花巻市へ入り、
「3.11」東日本大震災時の津波によって壊滅的な打撃を受けた
陸前高田の海岸へと向かいました。

海水浴場としてもにぎわった漁業の町
美しい松原のあった砂浜も
いまは更地と化し、ただ一本だけ流されずに残った
「奇跡の一本松」に出迎えられました。

瓦礫の撤去作業が行われている海沿いを走ります。
鉄筋の外壁だけになったマンション。
4階までの部屋は全戸窓ガラスが割れていましたが、
カーテンだけが残って風にゆれていました。
崩れそうなホテルや水没したスタジアム。
遮るもののない見渡すかぎりの更地を、
山からおりてくる冷たい突風が容赦なく襲い、
車外に長く立っていられないほどです。

そんななか、
笠井叡さんが突然、舞いはじめました。
快晴ではあるものの、
北国の潮風と粉雪まじりの山下しに
耳と指はかじかみ、目も充分にあけられない。
コバルトブルーの海に峙い
ときには足もとの瓦礫と漂着物に
強風によって押さえつけられながら、
それでも舞い上がろうとする鶴のように
笠井さんの手が鎮魂の見えない翼をひろげる。
すると鴎の群れが海からやってきて
舞踏家の頭上を飛び去ってゆきました。

稀代の舞踏家による、希有な光景を
目のあたりにしてしまった日。

「Edge」の映像で再会できるのを、
心待ちにしています。

2013年2月19日火曜日

北上の贅沢な1.5日



日本現代詩歌文学館


吉増剛造さん「お土産詩」直筆原稿カラーコピー

2013年2月16日、
岩手県北上市の日本現代詩歌文学館に、
笠井叡×吉増剛造
「歌と舞のあたらしいページ」
(トーク司会・林浩平氏)
企画展示・パフォーマンスにいってきました。
笠井さんと吉増さんの素晴らしい競演でした。
林さんが司会のトークも、
おふたりの仕事をよく知る林さんだからこその、
的確でわかりやすい流れになっていました。
イベントと展示の内容については、
「現代詩手帖」にレヴューを執筆予定です。
(掲載記事をぜひご覧ください)
会場には書肆山田の鈴木一民さんのお顔も。
主任学芸員の豊泉さん、木村さんをはじめ、
日本現代詩歌文学館の皆様に、
大変お世話になった旅でした。

気温は日中でもマイナス2度ほど。
垂直に降る関東の雪とはちがい、
北上のパウダースノーは風にのって
ゆっくり水平に浮遊してゆく優美な雪。
前日の2月15日、
詩人の城戸朱理さん、マッド・バンビさんと
ぼくは北上に前ノリして宿泊。
夕方から詩歌文学館の豊泉さん推薦の
地元の寿司割烹「魚菜」で吞みました。



つきだし三菜のひとつ、帆立貝柱のカツ。
ものすごくでかい貝柱、丸ごと一粒を揚げて。


バター牡蠣



いうまでもなく、刺身は新鮮。
これで2人前の盛り合わせです。
血の滴りそうな本鮪の赤身。
牡丹海老はぷりっぷりで、20センチちかくあった。

豊泉さんに地酒「浜千鳥」を三本、差入れていただく。
最後に寿司を一人前ずつ頼むはずでしたが、
もうお腹いっぱいで食べられませんでした。
会計はひとり3千円ほど。
イベント当日のお昼は、
偉大なVisual Poet 高橋昭八郎さん、伊藤元之さんらが
青年時代を過ごした北上市街を散策。
普通のスーパーの名店街で食べたのが、
下の回転寿司。


平目の縁側は肉厚でぷりぷり。
舌にのせると、じんわり溶ける。


寿司の種類も関東とはちがうものがいっぱい。
巻物も「すじこ巻き」など、
魚介が豊富な岩手ならでは。
牛タンの炙焼き寿司も美味でした。


日本酒のアテに最高の蟹味噌が
大盛りの軍艦巻き。

城戸朱理さんから生地岩手県のお話や、
北上「VOU」の逸話をききながら昼酒。
そんな話をきいたイベントの後で、
ぼくは本物の伊藤元之(下写真中央)さんと
初めてお会いすることができたのです。
なんて贅沢な1.5日だったんだろう。


2013年2月15日金曜日

日本現代詩歌文学館 前ノリノ前


今日から、日本現代詩歌文学館のある
岩手県北上市へ。
その前に、たまっていた原稿に取り組みました。
詩も散文も第一稿は必ず手書き。
PCは清書とブログを書くときのみつかいます。
太字の万年筆で神楽坂・山田紙店の百字詰め原稿用紙に。
コピーを含め、移動先で書くことも多いので、
携行性に優れたB5サイズの原稿用紙を愛用しています。
執筆中の原稿は、某社に頼まれた現代詩史の本。
ゴールは遠いですが、ちゃんと書いています。


ノルマの枚数に達したところで、
妻が朝食にクレープを焼いてくれました。
朝のミルク珈琲に欠かせない、
フランスのカフェオレボウルは1900年代初頭のもの。
昭和初期の皿は骨董市で500円ぐらい。
これを食べて北上へ。
新幹線に乗る前に大宮の山屋本店で
鰻蒲焼きのお包みでも買っていこうっと。

2013年2月13日水曜日

今夜は桜で一杯。



都内から三日ぶりに帰ってきたら、
コブシの枝にウグイスの番がきていました。
蠟梅が満開で紅梅も咲いているし、
スノーホワイトもきれいだし、
つぎつぎと花が咲く楽しみな季節。
(まだまだ寒いけれど。
今年の吉野郷梅まつりはどうでしょう、ね)

いただいた河津桜の枝からは
今年初の桜の花が!

いそいそと庭にでて、
清水卯一の試作西洋水甕に桜を生け、
江戸後期無地志野盃を陽の当たる窓辺に置いて、
スタンバイ完了。

今晩はこの桜と水瓶を家に引き入れて、
ちょっと早い花見酒をするのです。

明後日から、北上詩歌文学館。
雲丹、いくら、岩牡蠣、鱧、短角牛、、
きりたんぽ鍋で熱燗といきたいなあ〜〜。
(なにしにいくんだろう)

2013年2月10日日曜日

ブールジュ 中世の家



滞在でお世話になった精神科医Bの家は
築200年の石の家。

壁を塗り替え、水回りと暖房は改築しているものの
梁や階段はそのままつかっているのだそう。
家のところどころに各国のアンティークが置かれ、
こんな家に住めたらいいなあ。

トップの写真は聖エティエンヌ像。
左手と脚部に疵があり、
教会から流出しようとしていたのをBが
譲ってもらって安置しているのだとか。
日本の家は木造だから限界はあるけれど、
ヨーロッパでは大地震がないかぎり、
築4~600年の家は当たり前。

階段なんかも実に美しい。
そういえば詩人の平出隆さんは
ご自宅の階段に大変凝られていて、
黄金比をつかって自ら設計されたのだとか。


ヨーロッパにいってから、
骨董の置き場所が気になりだしました。
柳宗悦は「工藝の美」で、
「よき工藝は自然の御栄の賛歌である」といってますが、
ヨーロッパには自然の力を得た工芸が
いきいきとのこっています。
アンティーク好きのBのために
日本からいくつか骨董をお土産に。
地球の反対側の家なのに、
器たちが嬉しそうに置かれていたのには、
びっくりました。

宗悦は「創作とは恩寵の美である」ともいいました。
来年か再来年、恩寵のありそうな
ヨーロッパ中世の家に滞在しながら、
ぜひ詩を書いてみたいなあ。

2013年2月2日土曜日

早稲田大学 奥定泰之講義に出演


装幀家 奥定泰之さん


思潮社 総編集長 髙木真之さん

装幀家の奥定さんに招かれて、高木総編集長と
早稲田大学で「未来の書物」についての
講義に参加しました。

装幀家奥定さんを中心に、編集長、詩人の三人で
『まどろみの島』の生成過程についてトーク。

聴講生のみなさんは、もの書き、編集者などを
目指されている学生さんがメイン。

ぼくは、視覚詩人・高橋昭八郎の傑作『あ・いの国』、
田村隆一『死語』初版の装幀について話しました。

1972年制作ポエムアニメーション『あ・いの国』は、
高橋氏自身が書いたオリジナルの詩句は一行もない、
広辞苑や既成の語彙のみを用いた
北園克衛直伝のレディメイドを忠実に守ったもの。




封入された三角形のフラグメントは、
独自の折り加工が施されており、
いったん開いたら、同じように閉じるのがむずかしい、
開かれていると同時に閉ざされてもいる。
やっかいにして不思議な魅力をもつポエジー。
でも、それが「詩」の本質かも。

二時間に及んだ講義でしたが、
50名近くの学生の皆さんが居残ってくださり、
「詩人との編集のやりとりはどんなふうに?」
「詩書の装幀は、通常とちがうはず。
三者はどうコミュニケーションを?」など、
講義内容をしっかり聴きとどけてくださった
熱心なご質問をいただきました。

そのあと、装幀家の誘いで
早稲田の中華の名店「太公望」で打ち上げ。


香港名物の卵蒸し。
日本の茶碗蒸しの源流を感じさせつつ、
中華スープの味わいが美味。
ぼくらは深夜ちかくまで、
詩と本、文学をめぐって番外トークに。
早稲田らしい夜でした。

ぼくはそのまま神保町の「庭のホテル」に投宿。
翌日は仕事の打ち合わせの後、神保町を散策しました。


朝の神田教会。
ヨーロッパが懐かしくなると立ち寄ります。


田村書店に立ち寄り、
田村隆一の『言葉のない世界』初版本(昭森社)や
『鮎川信夫編 森川義信詩集』(母岩社)など
荒地派グループの稀覯本を購入。
いま、某出版社より依頼されて書き進めている
日本の現代詩史についての本の資料です。

神田の老舗ビアホール「ランチョン」で、
吉田健一考案の「ビーフパイ」と
(ビーフシチュウをパイでくるんで焼いたもの。
吉田健一はイギリス留学時代、
村のパブでシチュウを肴にビールを吞んだ思い出から考案)
昼から黒ビールを吞みつつ、
改めて『言葉のない世界』の詩と装幀に感動。

仕事の泊まり、ではなく、
贅沢な休日をいただいた気分でした。