2016年5月30日月曜日

種子島の時間5〜インギーとは?




   南種子市街(といっても、町、ぐらいのサイズ)で、「インギー」がおいしいといわれる食堂「美の吉」でお昼を食べた。

   インギーとは、種子島の地鶏、軍鶏のこと。

    運転手のぼくは呑めないので、「インギー焼鳥定食」。妻は「インギー親子丼」。

    焼鳥は、タレはなく塩のみ。赤身がもも肉でササミが白身。おもしろいのが、串に紅白で刺してあるところ。
   食堂のおばちゃんによると、だれが、どの店がはじめたのかわからないが、インギーの焼鳥は昔からこのスタイルだという。写真ではかくれて見えないけれど、ハツ、レバー串もあった。お椀は、インギー汁。栄養満点なかんじ。
   まったく臭みのない、歯ごたえのよい肉。噛めば噛むほど、じんわりと口中にひろがる滋味。うーん、ビールがないのが、なんとも。

    鹿児島、種子島に着いてから、ずっと「ラーメン!」とさわいでいた妻は、卵とろとろの親子丼も食べているのに、インギーでスープを炊いたラーメンも注文。よっぽど、食べたかったらしい。
    麺は、鹿児島ラーメンに似て、やわらかめのつるっとした細麺。塩味のスープは舌ざわりがなめらか。コクは豚骨に匹敵する。濃厚だが、豚骨ではないので、もたれない。葱のうえに、辣油がすこしかかっている。好みのラーメン。

    食後、腹ごなしに散歩すると、丘のうえに公園があって、夏草に沈みかけたちいさな陸上競技場になっていた。
   ランニング・トラックを、おばあちゃんがエプロンをつけたまま、ちょこちょこ走っている。

    潮風が、気持ちいい。

2016年5月29日日曜日

獨協大学の新ポエトリー・イベント



   アメリカのピューリツァー賞詩人ゲーリー・スナイダーの翻訳やアメリカ現代詩研究で知られる獨協大学外国語学部教授、原成吉先生から、とある相談をうけた。

    獨協大学で、今年の秋から毎月、詩のシリーズ・イベントを開催する企画があるとの由。

    国内外を問わず、毎月ひとりの詩人をランチタイムに招き、朗読やトークをしてもらう。また、イベントを収録し、獨協大学で映像アーカイブ化。世界中からアクセスできて、無料で視聴できるようにしたい。シリーズ・イベントの期間は数年におよぶ。

    ワオ!

   これは画期的なプロジェクトとしか、いいようがない。もちろん、よろこんで協力させていただきますとご返事した。

    プロジェクトのオリエンテーションのため、ひさしぶりに母校の獨協大学へ。2014年に講演をさせていただいた以来だった。

    ゲーリー訳の宮澤賢治の詩額がかかり、洋書にかこまれた原先生の研究室を訪問。ぼくの後輩でもあり、いまや大学講師の関根路代さんが、学会で発表するウォルト・ホイットマンの博士論文について意見をもとめていた。すると、今年から院生になったというリサさんも登場。おふたりを巻きこんで、先生のヒアリングをうけ、ぼくも自分のアイディアを説明した。

    イベントは写真の天野貞祐記念館で開催される予定ということで、内覧させていただく。建築設計は現ドイツ国会議事堂を設計したノーマン・フォスター氏ゆかりの建築会社らしい。なにより、世界最大級、蔵書40万冊をおさめた開架書架があることでも知られる。

   ミーティング後は、ロンドン発、気鋭のポエトリー・マガジン『WOLF』の日本詩人小特集で英訳をしていただいた山中章子さんにも加わっていただき、四川料理やで乾杯。
    ロバート・ハスをはじめいまのアメリカ詩の潮流、チャールズ・オルソンの巨大な長篇詩『マキシマス詩篇』、ヨーロッパ現代詩などの話題で、あっというまに三時間がすぎた。

   獨協大学の新ポエトリー・イベント・シリーズ、乞うご期待!

2016年5月25日水曜日

バルテュスのムートン





   先週は誕生日。誕生日そのものは、もう、どうでもいいのだけれど 笑  父の古希祝い、そして新詩集『耳の笹舟』と最新刊の共同詩集『地形と気象』上梓のお祝いをかねて、家族で秘蔵のワインをあけることにした。

    1993年のシャトー・ムートン・ロートシルトを、浦和の軍鶏料理や「田楽」さんで保蔵していただいていた。
     ラベル・アートは、バルタザール・ミシェル・クロソウスキー・ド・ローラ伯爵。伝説の画家、通称、バルテュス。
   1946年以降、ムートンのラベルは、シャガール、モネ、ピカソ、ウォーホル、フランシス・ベーコン、ミケル・バルセロなど、当代の著名な画家や彫刻家たちの作品がかざってきた。

    なかでも1993年のバルテュス・ラベルは、いわくつきだ。上写真のように、幼女の裸体にも見えるデッサンが、発売後、アメリカで児童ポルノとして発禁処分。まっ白に、ぬりつぶされてしまったのだ。
    さらなる珍現象は、この通称ブランク・ラベルが、ムートン・ラベルの不在と空白を象徴するとしてコレクター・アイテムとなったことである。しかも、93年はメドックの当たり年とされているため、二種類のラベルをそろえるワイン・コレクターも多いのだ。ようは、ぼくのムートンは発禁前のオリジナル・ラベルなのです。

    ヴィンテージ・メドックの重厚な樽の香りが鼻をぬけると、口のなかにベリーの華やかなキック。複層性はなくて、気持ちいいぐらい直球勝負のワインだ。酸味もじつにまろやか。渋みや雑味がこれほどないワインは、ぼくにとってはじめて。透徹、という感想がうかぶ。

   ワインは、もちろん、それ自体を呑んでもおいしいものだが、料理の旨味をひきたてるためにある酒でもある。
   ワインの個性とはそのためにあるのであって、ワインのためにあるのではないと思える。ところが、このムートンは料理の旨味を邪魔せずにひきたて、個性のままでありつづけている。

    93年のムートンにあわせて、田楽の料理長上甲さんが軍鶏をまるごと一羽、「脆皮鶏」(ツーピーチー)にしてくださった。
    くりかえし蜂蜜を刷いて、じっくり備長炭の燠火でローストした皮は、パリパリ。お肉はジューシーすぎず、ほどよくしっとりした、品のよい滋味。
    とてもおいしかったから、宴の終わりに上甲さんと記念撮影してもらう。

    ぼくのもつムートンは、あと二本。家族やその他のお祝い事のときに、あけようと思っている。
    いきおくれにならないよう、せいぜい、精進したいです。

2016年5月23日月曜日

種子島の時間4〜千座の岩屋




   先週、フェリス女学院大学の講義で金子みすゞの「辨天島」をとりあげた。

「あまりかはいい島だから
ここには惜しい島だから、
貰ってゆくよ、綱つけて。」

   金子みすゞは故郷の山口県下関、仙崎湾にいまもある弁天島を「かはいい」と形容した。
    ぼくは十年ほどまえ、金子みすゞの取材で仙崎を訪れたことがある。弁天島は、ひなびた漁師町のほんとうにかわいらしい小島だった。みすゞさんの詩のとおり、弁天島の地上はこんもりと緑の灌木におおわれている。

    講義をしながら、ぼくは南種子の浜田海岸にある「千座の岩屋」(ちくらのいわや)を思いだした。

    千座の岩屋は、浜辺の大岩が永年の荒波に削られてできた海食洞。このちいさな洞穴に巫女が座り、洞内から見える奇岩、というか島々と海を神として礼拝したのだという。残念ながら、その島々の、神さまの名前を知ることはできなかった。
    千日座す行があった、あるいは窟内にはいちどに千人が座れた、という説が名の由来だそう。現在の岩屋には、千人も座れそうにない。自然がつくったちいさな聖地、霊廟だ。

    岩屋は満潮になると海没してしまうのだが、なんとか間に合う。
    ちょうど、誰彼時。
    海と浜辺、荒々しい姿の岩屋とそこから見える島々すべてが、黄金色から青灰色の光に不意に染まった。あたりは急に、神秘的な気配につつまれてゆく。潮風がすぅーっと冷えて、澄む。妻もいたく感動している。

    ちなみに、ぼくは上写真の千座の岩屋の入口を見たとき、出雲の「もうひとつの黄泉比良坂」、出雲国風土記にも「.黄泉の穴」と記されている、猪目洞窟(平田町)の入口にそっくりだと思ったのだった。

   折口信夫は『琉球神道』のなかで、「島台を据えて神の飾りとする」と書いていた。いまも昔も、海辺の民にとって島は神なのだと思う。

    旅から帰ったいまは、南種子と琉球と仙崎をむすぶ「海の道」を夢想して楽しんでいます。島の神秘に、すこしだけふれることができて。

2016年5月20日金曜日

詩の学校




    五月の大型連休明けから、神奈川県は緑園都市にあるフェリス女学院大学でも教えはじめた。

    ぼくの担当する講義は、「近現代詩歌の世界」。もともと、詩人の城戸朱理さんが教えていらしたのだが、今年からぼくに交替したのだった。退官されたが、詩人の吉田文憲さんも教鞭をとられていた。いまは、小説家のほしおさなえさんも教えられているし、城戸さんは創作の講義を担当されている。

    そんなこともあり、近年、フェリスはぞくぞくと、あたらしい詩人たちを輩出しているのだった。きょうは、いま活発に詩作品を投稿したり、同人文芸誌制作に携わる長尾早苗さんが講義に遊びにきてくれた。

    講義のあとは、ぼく向けの、大人の大学がはじまる。城戸朱理さんと呑みにゆくのだ。

    夕方5時に小田急線藤沢駅でまちあわせ。料理が得意な城戸さんが最初につれていってくださったのは、駅ちかくの調理器具や「林屋」。正本、木屋、そして林屋オリジナルの和包丁などを鑑賞する  笑  「包丁なのに、こんなに美しくていいのか!?」とは、城戸さんのコメント。

    つづいて、ちかくの鮨や「青海」(せかい、と読みます)さん。写真は上から生トリガイの刺身、マコガレイ、シャコ。どれも新鮮で、美味。さすが、藤沢のお鮨や、レベルが高い。
    生トリガイは、希少だが、ふだん食す下ごしらえしてあるトリガイとまったくちがう、味わいと食感。より瑞々しく、香りも芳醇だ。マコガレイは、自家製ポン酢をつけていただく。絶妙。子持ちシャコは、蒸して岩塩のと、タレのと。あまりに美味で、ぼくはおかわりした。
    握りはほかに、コハダ、中トロ、アナゴ、ぼくは牛炙り(淡麗!)、城戸さんはタラコの軍艦巻き、など。〆にネギトロ(焙ってないのに、海苔はパリパリ)。酒は、ぬる燗。いつも、城戸さんとは各自一升ぐらい呑むのだけれど、きょうは控えめに七合ほど。
    詩、時代小説、骨董、ミステリ、近現代美術、聊斎志異、テーラード・スーツについて歓談。あっというまに、二時間がすぎた。
    詩人の田村隆一も、鮎川信夫や中桐雅夫、『荒地』の詩人たちとかよった「バー ナルシス」を、「詩の学校」とよんでいたっけ。

    帰りは湘南新宿ラインのグリーン車で、ウィスキーの水割り。おともは、藤沢駅で買ったサガミハム。

    仕事のような、遊びのような金曜日が、これからもつづくのでしょう。

2016年5月18日水曜日

岡本啓さんと浦和で




   先週のこと。種子島から帰ったら、京都在住の詩人、岡本啓さんから葉書が届いていた。上京するので会いませんか、との由。指定された日は、ちょうど、埼玉文学館で講演のための打ち合わせがあったので、浦和でよければ遊びにきませんかとお誘いした。

    タイムリーなことに、うらわ美術館で「若林奮展」が開催されている。夕方に美術館で待ち合わせた。写真は展示ポスター前で撮影。

    観覧後は、展示の感想を話し合いながら、日の残る浦和の街をすこし案内。そぞろ歩きするうち、いきつけの軍鶏料理や「田楽」へ。
   ふたりで呑み、食べながら、三時間ちかく詩や旅について語りあってしまった。ぼくは、楽しくなって、すっかり酔っぱらって。啓さん、迷惑じゃなかったかしらん。

    5月14日のイベントにもいきますという岡本さんを駅まで送って(実際、応援にかけつけてくださった)、ぼくはちかくのバー「リンハウス」へ。

    いつも白のダブルのジャケットでカウンターにたつマスターが、まず自家製コンソメスープをだしてくれる。内臓にしみわたる滋味。何杯かシェーカーをふっていただき、葉巻を一本、最後は16年の樽出しクライヌリッシュ。
    浦和の名バー、リンハウスさんについては、また後日、書こう。楽しい夕べの、余韻を楽しむつもりが、楽しみすぎた。

    岡本啓さん、また遊びにきてくださいね。

2016年5月16日月曜日

『地形と気象』刊行記念イベント




   5月14日、左右社から刊行されたばかりの『地形と気象』の記念イベントが、東京は一橋学園駅にちかい「学園坂スタジオ」(作曲家・港大尋さん主催)にて開催。盛況のうちに無事閉幕しました。

    ご来場のみなさま、ありがとうございました!

     出演は、ともに一年間、左右社ホームページで連詩をつづりつづけた詩人の暁方ミセイさん、管啓次郎さん、大崎清夏さん、石田、『地形と気象』フルメンバー。さらに、ピアノで港大尋さんが加わってくださった。上写真はそのリハーサルの光景。

    プログラムは、

1.『地形と気象』全文朗読
2.トーク
3.各詩人による自作詩のリレー朗読、ピアノは港大尋さん

という内容でした。

    全演目において、かなり即興性の高いのが、なんというか『地形と気象』らしかったです。ひとりが自分の詩を日本語で読んでいると、Jeffry Johnsonさんがつけてくださった英訳を他のメンバーが即興的に読みはじめ、オーバーラップさせてゆくとか。座ったり、歩き回ったり、アンプラグドしたり、すこしダンスしたり、ジャズ・バンドのジャムセッションのごとし。

    書く場とおなじで、朗読の場でも、ぼくらは「個」から脱走していたと思う。個人朗読だとかなわない動作や声や身体性が、複数者間の朗読では獲得できることが、今回のリーディングをとおして体感できた。ぼく個人はおおいに楽しませていただいた。
    でも、このハプニングは、『地形と気象』のメンバーだからできたのではないか。ぼくはともかく、三人の詩人たちは、詩の身体性においても多様なポテンシャルを秘めている。だからこそ。

    すばらしいCD「0点の世界」をリリースしている港大尋さんのピアノは、ジャズ、ブルース、現代音楽、ワールドミュージックを縦横無尽に歩き渡りながら、詩の言葉に応え、火花を散らしていた。学園坂スタジオには本棚があって、詩集や哲学書でいっぱい。そんな、港さんの読書が、音にもちゃんと潜んでいる。
    音楽に詩をあわさせようとする音楽家は知っている。しかし、港さんのピアノは、詩を変更することなく、その字間や行間を自在に歩いたり、飛び散ったりして、詩の言葉を音楽に変えてゆくようだ。
    港さんとコラボできる詩人は、幸運だし、しあわせだと思います。ぼくも今回、ちょっとだけあやかれた。

    このイベントは、管啓次郎さんが港大尋さんとともに企画してくださった。それにしても、管さんのまわりには、じつにいいアーティストたちがいて、おどろかされる。

    『地形と気象』の活動はこれで終わりではなく、はじまったばかり。テキストとしては完結したけれど、今後はライブ活動?がつづくと思います。そして、バイリンガル詩集であるがゆえにも、海外をめざしたい。
    打ち上げでは、こんな夢物語に花が咲いた。もとい、詩で夢を見ずしてなんになろう。

2016年5月13日金曜日

種子島の時間3〜茎永





   ぼくらが宿泊したのは、南種子の茎永という村落。

    写真のように、種子島は米どころでもあって、見渡すかぎり、青々とした美しい水田がひろがっていた。畦道に遊ぶのは、ザリガニではなく、沢蟹。写真を撮れなかったのが、残念。この時のとまったような山田から、車で二十分も走れば、海。

    南種子の稲作は、弥生時代まで上る。古代米・赤米伝来の地でもあるのだ。中央写真、変わったかたちをした水田は、舟田。その前にあるちいさな森は、御田の森と呼ばれる礼拝所だ。現在でも田植えの季節に、豊穣と無事を祈願して祝詞を唱え、神楽を舞い、直会をする。
    舟田は雨水だけで稲をつくる神田なのだという。ぼくはホーチミン近郊の村でも、これと似た祭事を見たことがあった。妻の指摘によれば、ぼくらの故郷、見沼の女氷川神社の御船祭も舟田信仰と類似している。
    茎永は「稲の茎が長いゆたかな土地」を意味するとか。

    柳田國男のいう「海の道」からだろうか、赤米とともに南方系文化が島につたわったことが、こうして、いまも感じられる。

    島の花は、ハイビスカス。

    さて、明日、5月14日土曜日はいよいよ『地形と気象』イベントです!詳細はこちら。


    おじゃり申せ! (種子島の言葉で、いらっしゃい)

2016年5月11日水曜日

種子島の時間2〜西之表の地魚料理




   お昼を食べようと、西之表市街へ。すぐそばに漁港があって、新鮮な地魚が食べられるのだ。

    おいしいと評判の「樹里庵」というお店にはいる。

    ぼくは、刺身定食。妻は海鮮丼。上写真のお刺身は、チヌ、ブダイ、イシダイ。当然、臭みは皆無、コリコリした歯ごたえながら、しっとりとした甘味が口のなかにひろがる。季節のイシダイはともかく、チヌやブダイなんて、関東の寿司屋ではなかなかお目にかかれない。鹿児島より甘い自家製ブレンドの昆布醤油でいただくのだが、これが味の濃い地魚にあう。

    魂の奥底から、酒が呑みたかったが、運転手だったので、やむなし。

    でも、米どころ、種子島の白米はとても瑞々しく、芳醇で、地魚の刺身であつあつのご飯を頬ばると、もう、なんともいえない。口のなかは竜宮城。

    つけあわせは、蕗の煮物。黒砂糖もいれて炊いてあるらしく、ほんのり、甘い。アラ汁もごろごろ身がはいり、魚の脂がよくでて、いいだしになっている。こちらも、まったく、臭みなし。

    メニューには、「とっぴーの唐揚げ定食」もあった。とっぴー、トビウオを丸ごと一尾揚げたもので、隣で地元の漁協のおじさんが食べていた。スコール気味で寒かったから、おいしそうに見えた。

    75号をしばらく走ると、妻が、止めて!といいだす。ぴんときた神社があったらしい。手作り感のある「今姫神社」の祠。ソテツなど、あざやかな南国の緑につつまれた、ちいさな聖地で、しばし黙祷した。

   そして、しつこいようですが 笑 5月14日土曜日は、ぜひ『地形と気象』イベントへ!詳細はこちら。


    よろしくお願いします!

2016年5月9日月曜日

種子島の時間1〜熊野海岸



 霧島からプロペラ機にのって、種のごとくちいさな種子島空港へ。レンタカー店でハイブリッド車の「フィット」をかりて、国道75号を南下する。

 島の初日はあいにくの雨。ときどき、スコール。それでも、灰色に煙る雄大な太平洋を目にしながら沿岸をドライブしつづけた。大型連休なのに、島にはあまり観光客がいない。サーファーさんたちが、ややうらめしそうに、海を見ているだけだった。

 種子島は1時間半もあれば、南北を縦走できるちいさな島だ。

 鹿児島や屋久島、奄美諸島とちがい、ガイドブックにもあまり載っていない。ロケットを打ち上げる種子島宇宙センターのほかは、ひたすら南方の緑と断崖、海がひろがるだけの景色がつづく。しかし、島には古くからの信仰と文化がある。

 まずは、旅の無事を祈る気持ちで、上写真、無人の熊野海岸をおとずれる。熊野海岸は熊野古道からつづく、熊野神社ゆかりの浜。地元の人々は、ここから熊野を拝し、島というカミに祈りをささげた。「七ツ島」とよばれる奇岩がカミサマ。岩肌は永遠の波のうごきに削られて、荒々しい。

 『まどろみの島』を書いた、北イングランドのヘブリディーズ諸島もそうだったけれど、種子島は大陸がつくった大地ではなくて、海がつくった大地、だと思う。この景色を眺めながら、そんな考えが深まった。

 車で駐車場にはいっていったら、島の猫が追いかけてきた。

 まあ、ねらいはひとつです。新参者のぼくと妻は、お供物に、空港の茶店のおばちゃんに揚げてもらったカレーパンをちぎってさしあげる。猫のトチガミサマのお気に召したようで、半分くらいはもっていかれた。

 それを見ていた妻が、トチガミサマを「カレーパン」と名づけてしまって。

 種子島の旅の話もしたいですよ。今週土曜日、5/14は『地形と気象』刊行記念イベント@学園坂スタジオへ、ぜひ。

http://sayusha.com/events/talkevent/p=201604212141

2016年5月5日木曜日

種子島へ


   みなさん、初夏の大型連休いかがおすごしでしょう。関東はことし、晴天にめぐまれましたね。

    ぼくは、「ガイドブックにのっていない島へ、いこう」のコンセプトのもと、なぜか、今朝から種子島へ 笑
    仕事もなんとかこなし、かなり寝不足だったけれど。バスと飛行機のなかで爆睡。

    というわけで?ブログは5月9日まで、おやすみします。
     再開しましたら、ぜひ、おつきあいください。
     
    そして、5月14日土曜日は『地形と気象』イベントでお会いしましょう!     
    詳細はこちら。


    みなさん、よい休日を!