2012年12月23日日曜日

うらわ美術館『日本オブジェ 1920-70年代 断章』を観に


日本のヴィジュアル・ポエトリー研究の第一人者、

金澤一志さんと、詩人の藤富保男さんから

招待状をいただき、

『日本オブジェ 1920-70年代 断章』を観に、

うらわ美術館にいってきました。


20世紀美術を革新して誕生した「オブジェ」。

いまや一般的な言葉としても定着したオブジェを

もう一度見つめなおすための展示です。


マルセル・デュシャンの「ローズセラヴィ」や

瀧口修造のオブジェ作品からはじまり、

美術、書、工芸、詩、活花など、

オブジェが最も熱かった70年代までの

日本でのオブジェの展開と成熟を

コンパクトながら充実した展示で観ることができました。


ぼくの目当ては、

北園克衛、新國誠一、高橋昭八郎、向井周太郎といった

視覚詩の展示。

北園の初期プラスティックポエムや

新國の伝説的な視覚詩集『0音』、

高橋のポエムアニメーションはもちろん、

向井周太郎の「人間」「竹語」といった

なかなか観ることのできない

オリジナル作品もありました。

(北園は2013年始から展示替えとのこと)


書とオブジェの展示では、

井上有一の「捨」「安西冬衛詩 ドクチャン」の

オリジナルを観られたのが収穫。


(井上有一の書は欲しいと思いながら、

ある画廊で「山椒魚ハ悲シンダ」の軸が

かなり高額で求められず、喜びひとしお)


工芸とオブジェの展示も、

出展数は少ないながら、

八木一夫の「作品」(1963)、

〈ザムザ氏の散歩〉シリーズにつながる

「黒陶環」も観られました。


個人的な興味からですが、

工芸とオブジェのコーナーは

もうちょっと拡張してもよかったかも。


そういえば、以前、青柳恵介さんのご自宅に

遊びにいったとき、「八木一夫の盃」を

見せてくれました。

お祝い物としての手遊びらしく、

口造りが木の葉のように薄くて軽い盃は、

宇宙船のようにきれいな流線型をしており、

陶工としての八木の技量を伺わせるものでした。


松澤宥の〈オブジェの消失〉を企図した

「プサイの鳥」シリーズは

オリジナルを初めて観ることができて感激。

とても貴重な機会でした。


ぼくの興味の中心は視覚詩でしたが、

このように幅広く楽しめて、

視覚詩へと至る日本のオブジェの流れを

しっかりと体感できる良質な展示でした。


これは展示作品ではなく、

浦和の名物、鰻のゆるキャラ「うなこちゃん」。


近いし、もう一回、観にいこうっと。

そして、帰りは鰻の蒲焼きで一杯やるのだ。

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