2016年7月2日土曜日

見沼の梅雨の花



    「桜回廊」の土手に、藪萱草の花が、咲いた。

    ヤブカンゾウ。見沼では昔から、ただカンゾウと呼ばれていた。梅雨入りからすこし経つと咲きはじめる自生の花は、農家のお年寄りによれば、昔はいたるところで見られたという。

     人間たちのちいさな開発のせいで、一時は、ほとんど絶えてしまいかけた。
    見沼のヤブカンゾウ保存会のみなさんが、日頃から手入れをしてくださるおかげで、こうして楽しむことができるようになった。

    自然とはじつにdelicateなものだ。

    別名は、忘れ草、ともいうらしい。

     一日咲くと、すぼんでしまう。一日花だからだろうか。みずからが咲いていることを忘れてしまう、花。たしかに、朝は咲いているヤブカンゾウが、夕方には蕾にとじこもってしまう。

    蒸し暑く、何日も雨がつづく梅雨に咲いて愉しませてくれる、たいせつな花。ぼくにとって、見沼の梅雨を象徴する花だ。西脇順三郎のいう、symbolだ。
    藪の暗がりを明るく灯す、オレンジの花を見ていると、ちょっと元気がでる。

   そういえば、近年、カンゾウの会の群落以外にも、見沼のそこかしこでこの花を見かけるようになった。会のみなさんのお陰で、花の種子が旅にでれるようになったのかもしれない。

    いつまでも、見沼に咲いていてほしい。

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