2016年7月19日火曜日

E;の詩集


 「E;」から、私家版の詩集がとどく。

    三年前に「現代詩手帖」誌の新人投稿欄の選者をしていたとき、あきらかに才気のある投稿者がいた。

    子猫沢るび、さん。

    一年の投稿期間の折り返しまでは、この詩人で決まりかな、とさえ思っていた。

    るびさんは、いまはペンネームをE;と変え、写真の私家版詩集『青天井の猫    宇宙規模でさかあがり』を送ってくださった。

    まだ準備詩集という段階かもしれない。現在、某出版社と第一詩集のための相談をしているそうだから。

「さぁ……
        まちの鼓動よ、
               ぜんぶ溶けて誰かの心臓になりな。」

    関西弁とひらがなが旋回させる、猫のようにしなやかでやわらかい言葉の襞には、カミソリのようにエッジのきいた抒情がひそんでいる。   
    目を瞠るフレーズがいくつもあった。
     
    収載されていた詩篇は、ぼくのときに投稿された作品も多いと思う。奥付を見たら、発行日は「二〇一五年十月十二日」になっている。ペンネームが変わっていたから、最初にお送りいただいたときは気がつかなかったかもしれない。
    いまは「E;」という、かぎりなく記号にちかい主体、マスクをかぶった詩人だそうだが、これからの動向が楽しみだ。

   三年が経つというのに、わざわざ近況報告のように私家版詩集を送ってくれたことが、うれしい。

   あのとき、子猫沢るびが渾身で放った言葉が、いまもきらきらした彗星の尾をひきつづけていることも。

1 件のコメント:

  1. 石田瑞穂せんせい……るびです。すべての命がしなない日というのは、ないのですね。わたしの初めての絶望です。現代詩手帖にたいしての暴言、わたしの第二の絶望です。そして、大切な音楽仲間のYくんへの存在否定。わたしは、つねに何かを傷つけずには、あらたな詩が書けないのです。どうしてでしょう、傷は、傷つけた傷は、自らの頬まで貫く泪となって、しまうのに。くるしかったです、かなしくてたまらなかったのです。何度も発狂しました。その度、そばにいてくれたのは、UKロックと、エレキギターと、せんせいたちとのやさしい想い出です。あのとき、瑞穂さまが選者でいたことは、わたしにとって、かけがえのない瞬間でした。一年も、一瞬ですね。ほんとうに、ありがとうございます。詩集の出版、うまくゆきそうです。来年に向けて、まとめてゆきたい覚悟です。ホームページ……もし、よろしければ、よろしくお願いいたします。あと、ヘンなペンネームで、詩集をお送りしてしまい、申し訳なくかんじています。わたしは、るびでしかないのですね。
    (*☻-☻*) きらるび
    http://kiraruby.hatenablog.com

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